王子様はお姫様を愛し尽くしたい〜23時のシンデレラ短編〜



「……ええ……いい返事を頂けるのを私も楽しみにしております……では……」

俺がベランダのガラスの引き戸を開けると、ちょうど電話を終えた麗夜と目が合った。

「お疲れ」

「どうも」

俺が差し出したワイングラスを麗夜が受け取ると、俺たちはグラスを合わせる。

「ん。おいしいね」

俺から仕事の話を聞かれたくないのか、麗夜がワインの感想を口にする。

「どこの件で揉めてる?」

「あ、いや大丈夫だよ」

「言えよ」

麗夜は双子が生まれて育休を取った際、ほぼフルで代わりに業務をこなしてくれた。それなのに俺が麗夜の仕事を手伝おうとすると必ず遠慮するのだ。

「英玲奈のつわりの時は助かったよ。だから大丈夫」

「だからってなんだよ。何のための兄弟だよ」

「んー、喧嘩するためかな」

「ばぁか。助け合うために決まってんだろ」

俺の返事がわかっていたのか麗夜が形の良い唇を引き上げる。

「じゃあ、僕にもカッコつけさせてほしいけどね」

「は? どういう意味?」

「弟にはできる兄をみせたいってこと」