「え? またたび? でも煙草は煙草なんですよね?」
「ニコチンなんかはいってへん。またたび摂取の一服や~」
「一服って言ってるじゃないですか」
「桜は頭かたいの~そもそもワシは霊界の住人やさかいワシが人間の世界でなにしようとも時空処理でなーんも残らへんねんから」
「よくわかんないです」
ヒデさんに少し慣れてきた私がまたたび煙草とやらを睨むと、ヒデさんが煙草を吸いこみ、こちらにむかってワザとふぅ~っと煙を吐きだした。
その瞬間、何かが鼻を掠めたが、何の匂いか判別ができない。少なくとも煙草の匂いは一切しない。
「あれ?」
「ゆうたやろ。またたびや。人間の桜には害もなく、無味無臭やさかい安心しぃ」
「わかり、ました」
腑に落ちないが、夢の中でいちいち追及するほどのことでもないと思った私は素直に頷いた。
「あ、もうこんな時間や。急がんとな」
ヒデさんの視線をたどるように私も壁掛け時計に目をやれば深夜三時を指している。
「勤務時間決まってんねん。残業はできへんしな」
「化け猫の世界でも人間と似たような感じなんですか?」
「せやから化け猫ちゃう。わしは元は神社の神様の使い魔〜しとったんやけど」
「へ? 使い魔?!」
「まあまあ最後まで聞き〜。使い魔を定年で引退してここ百五十年ほどは、さっきゆうた特命神獣猫支店で“後悔”を思い出に変えるんが主な仕事や」
「ええっと……あの、さっきも言ってましたけど……“後悔”を思い出に変えるってどうやって?」
「おうおう。ええ、質問や」
ヒデさんはあっという間にに火を消すと、またたび煙草のパイプをさっと腹巻の中にいれる。
そして私が転がり落ちた際、一緒に落としたらしいスケッチブックを床から拾い上げると、鉛筆を握った。
「書くからみときや」
「……字も書けるんだ」
かなり小声で言ったつもりだったのに、すぐにヒデさんの鋭い猫パンチが飛んでくる。
「ニコチンなんかはいってへん。またたび摂取の一服や~」
「一服って言ってるじゃないですか」
「桜は頭かたいの~そもそもワシは霊界の住人やさかいワシが人間の世界でなにしようとも時空処理でなーんも残らへんねんから」
「よくわかんないです」
ヒデさんに少し慣れてきた私がまたたび煙草とやらを睨むと、ヒデさんが煙草を吸いこみ、こちらにむかってワザとふぅ~っと煙を吐きだした。
その瞬間、何かが鼻を掠めたが、何の匂いか判別ができない。少なくとも煙草の匂いは一切しない。
「あれ?」
「ゆうたやろ。またたびや。人間の桜には害もなく、無味無臭やさかい安心しぃ」
「わかり、ました」
腑に落ちないが、夢の中でいちいち追及するほどのことでもないと思った私は素直に頷いた。
「あ、もうこんな時間や。急がんとな」
ヒデさんの視線をたどるように私も壁掛け時計に目をやれば深夜三時を指している。
「勤務時間決まってんねん。残業はできへんしな」
「化け猫の世界でも人間と似たような感じなんですか?」
「せやから化け猫ちゃう。わしは元は神社の神様の使い魔〜しとったんやけど」
「へ? 使い魔?!」
「まあまあ最後まで聞き〜。使い魔を定年で引退してここ百五十年ほどは、さっきゆうた特命神獣猫支店で“後悔”を思い出に変えるんが主な仕事や」
「ええっと……あの、さっきも言ってましたけど……“後悔”を思い出に変えるってどうやって?」
「おうおう。ええ、質問や」
ヒデさんはあっという間にに火を消すと、またたび煙草のパイプをさっと腹巻の中にいれる。
そして私が転がり落ちた際、一緒に落としたらしいスケッチブックを床から拾い上げると、鉛筆を握った。
「書くからみときや」
「……字も書けるんだ」
かなり小声で言ったつもりだったのに、すぐにヒデさんの鋭い猫パンチが飛んでくる。



