列車は森を抜け、橋を渡りきると青々とした山に囲まれた田園を走っていく。
その風景は昔の日本の田舎の風景によく似ているが、空を飛んでいるのは羽が四つあるカラスだったり、小さな飛行機を運転しているのは鳩だったりと目に映るものすべてが新鮮だ。
ヒデさんに連れてきてもらった、この現実とはかけ離れた世界はなんだか時の流れが緩やかに感じて、疲れきってトゲトゲしていた心が徐々に優しく丸くなる。
「あの……ヒデさん」
「どないしたん?」
「どのくらいで過去に到着するんですか?」
「ああ。桜の行きたい過去は一年前くらいやから、そんなにかからへん」
「え、あれ? どうして一年前ってわかるんですか?」
「言うたやろ、特別大きな後悔の風船の持ち主が桜やって。その時なぁ、触れるとまぁ、その後悔の内容がわかるんや」
(後悔の内容……がわかる?)
わかると言うことは、私があの日以来、静馬くんに対して抱いている後悔や伝えたかった想いをヒデさんは知っていると言うことなんだろうか。
「……そう、なんですね」
掘り下げることでもないと思いつつ、またいつもの癖で考えを巡らせれば返事が少しぎこちなくなってしまった。
「……悪いなぁ、のぞき見したみたいで」
珍しく、困ったように肩をすくめたヒデさんに私はすぐに顔を振った。
「そんな、謝らないでください」
「わしらも内容わからんと判断できんさかいにな。おもひで猫列車に乗れるんは一日一人だけ、その日に出会った一番大きな後悔を持っとる人間だけなんや」
「じゃあ私、ヒデさんに見つけて貰って良かったです……過去に……後悔に向き合えるチャンスを貰えて。何か変わるかもって……珍しくどこか期待もしてて」
「ほんなら良かった」
ヒデさんは深く頷く。
そしてふかしていた煙草をようやく腹巻に仕舞うと前方を指した。
「お。もうすぐトンネルやな。トンネルに入ったら桜が戻りたい過去のすぐ近くやからな」
「わかりました」
その風景は昔の日本の田舎の風景によく似ているが、空を飛んでいるのは羽が四つあるカラスだったり、小さな飛行機を運転しているのは鳩だったりと目に映るものすべてが新鮮だ。
ヒデさんに連れてきてもらった、この現実とはかけ離れた世界はなんだか時の流れが緩やかに感じて、疲れきってトゲトゲしていた心が徐々に優しく丸くなる。
「あの……ヒデさん」
「どないしたん?」
「どのくらいで過去に到着するんですか?」
「ああ。桜の行きたい過去は一年前くらいやから、そんなにかからへん」
「え、あれ? どうして一年前ってわかるんですか?」
「言うたやろ、特別大きな後悔の風船の持ち主が桜やって。その時なぁ、触れるとまぁ、その後悔の内容がわかるんや」
(後悔の内容……がわかる?)
わかると言うことは、私があの日以来、静馬くんに対して抱いている後悔や伝えたかった想いをヒデさんは知っていると言うことなんだろうか。
「……そう、なんですね」
掘り下げることでもないと思いつつ、またいつもの癖で考えを巡らせれば返事が少しぎこちなくなってしまった。
「……悪いなぁ、のぞき見したみたいで」
珍しく、困ったように肩をすくめたヒデさんに私はすぐに顔を振った。
「そんな、謝らないでください」
「わしらも内容わからんと判断できんさかいにな。おもひで猫列車に乗れるんは一日一人だけ、その日に出会った一番大きな後悔を持っとる人間だけなんや」
「じゃあ私、ヒデさんに見つけて貰って良かったです……過去に……後悔に向き合えるチャンスを貰えて。何か変わるかもって……珍しくどこか期待もしてて」
「ほんなら良かった」
ヒデさんは深く頷く。
そしてふかしていた煙草をようやく腹巻に仕舞うと前方を指した。
「お。もうすぐトンネルやな。トンネルに入ったら桜が戻りたい過去のすぐ近くやからな」
「わかりました」



