おもひで猫列車へようこそ〜後悔を抱えたあなたにサヨナラを〜

「あ……なんか私、昔から、考えすぎちゃう癖あって」

小学二年生の時に親が離婚してからだろうか。考えても仕方ないことに限って考えずにはいられなくて、でもどんなに考えても現実が変わらないことにがっかりして、心が鉛のように重くなる。

こんな風に苦しくなるなら、両親にも泣いて訴えれば良かった。三人一緒に暮らしたいと我儘を言えば良かった。あとから言葉にしなかったことを後悔するならば。


「……いっつも後悔ばっかり……」

あの時、こうしていたら、ああ言っていれば変わったかもしれないなんて、そんなたらればの話は魔法でもなければ、到底ひっくり返せるはずもない。

だから後悔だけはしないように自分なりに精一杯、日々を大事にしようと何度も戒めてきたのに、結局、私は後悔に苛まれている。

静馬くんと約束を交わしたあの日から動けない。

(静馬くん……ごめんなさい……)

(私のせいで……)

無意識に俯いた私の肩にヒデさんがそっと手をおいた。


「まぁ……なかなか癖は直らんけどな、でもこの旅でちょっとは心持ちが変わるとええなぁ」

そうボソリと言うと、ヒデさんは煙草をくわえて白い煙を吐き出す。

「なぁ、桜」

私はヒデさんの方に顔だけ向けた。

「後悔する暇あったら、面白うなくても笑うてた方がええ。『笑う門には福来たる〜』ゆうやろ。辛くても……笑っとったらきっと、桜にもええことあるさかい」

「…………」

そして私はヒデさんと一緒に移り変わる景色を車窓からただ見つめた。

背中から太陽の光が差し込んで二つの影が吊り革と一緒に揺れている。

ヒデさんがただ静かに私の後悔に寄り添ってくれているのが伝わってきて、彼の素朴な優しさが有り難かった。