推しと奏でる、私たちの唄 〜ドS天才歌手の隣は甘くて難しい〜


 いつもは下の名前で呼び捨てなのに、苗字呼び……
 しかも“マネージャー”という立場を強調してくるなんて、
 夏はまた私のことを、試してる?


 「……当たり前ですが、マネージャーとして、」

 マネージャー以外、ないじゃない。

 「リスクヘッジの観点では、行かないほうが賢明だと思います。
 誤解を生む可能性もありますし」

 「ふーん」

 少し間を置いて、淡々と。

 夏
 「バレないように行くから。
 スケジュール、調整しといて」

 灯里
 「……承知しました」

 胸の奥が、ほんの少しざわつく。

 (あれ……?
 私、今——何に引っかかった?)

 それは嫉妬とも、仕事意識とも言い切れない、
 まだ名前のつかない感情だった。

 蓮
 「何だよお前だけデートかよ!羨ましいな!」

 柊
 「蓮……。ちょっと黙ろう。」

 柊がチラリと灯里の方を気にして視線を送ったことに、灯里は気が付かず、スマホのスケジュール管理アプリを開いたのであったーーー…