推しと奏でる、私たちの唄 〜ドS天才歌手の隣は甘くて難しい〜


 「すごいですね……。こんな短期間で。」

 灯里は素直に漏らした。
 そして、それについていける蓮や柊にも同じだけ驚いていた。

 「いや、マジで大変だよ。俺らも。
 レコーディングで毎回夏にしごかれるし。
 夏って妥協しないから、全然OK出さねぇの。
 毎回必死。……でも、間に合わせる。」

 「うん。ハードなスケジュールでも、
 Shorelineって“いい作品にする”空気だけは絶対崩れないんだよね。」

 灯里はその言葉に胸を熱くした。

 「……スケジュール管理、しっかりやります。
 皆さんの時間を一分一秒たりとも無駄にしないように。」

 「お、頼もしいじゃん。」

 「そうそう。灯里ちゃんが支えてくれたら、俺らも助かるよ。」

 その瞬間、近くで聞いていたマネージャー陣が一斉に反応する。

 直哉
 「ちょっと、俺らもいますからね?」

 瑠花
 「もちろんです! 私たちも頑張ります!」

 杉本
 「ええ、全員でやっていきましょう。」

 その熱量に、蓮と柊は顔を見合せて笑う。

 蓮
 「……うわ、今日マネージャー陣、気合すご」

 柊
 「今日……“も”ね。」

 その場は笑いに包まれて、その日の会議は終わった。