昨晩のことが、どうしても頭から離れなかった。
湊さんは、私が竹田主任のことを好きなのだと誤解しているようだった。
どうしてだろう。
私は、湊さん以外の誰かになびくような言動をしていただろうか……。
知らないうちに彼を不安にさせていたのだろうか……。
人生で初めてのキスだった。
もちろん、ファーストキスは湊さんとできたら――と願っていた。
驚いたけれども、とても優しくて柔らかくて、胸が甘く締めつけられた。
思わず拒むような言葉を口にしてしまったのは、あまりにも唐突で、初めての私にはどう応えればいいのかわからなかったからだ。
少し間をおいて、お互いの思いを確かめ合ってから、慣れていきたかった。
恋に慣れた女性なら、あのまま身を委ねて、彼との距離を一気に縮められたのかもしれない。
でも、残念ながら私はそんな大人な女性じゃない……。
こんな子どもじみた私に、湊さんが幻滅してしまっていたらどうしよう……。
「竹田主任のことは何とも思っていない」と伝えたかったのに、言葉にする前に彼は避けるように部屋を出て行ってしまった。
きっと、つれない言葉を言われて、気を悪くしたに違いない。
後悔と至らない自分への失望感で、それからずっと落ち込んでいた。
湊さんに謝ろうと、スマホを握りしめて、どう伝えよう、もし彼がこんなことを言ったらどう返そう――とあれこれ考えているうちに、夜が更けてしまった。
ほとんど眠れないまま、朝を迎えてしまった。



