無口な警察官様とのまさかの同居生活についてご報告します〜過保護で甘々で困っているのですが…!〜

彼女に会いたい。でも罪悪感と、また怯えさせてしまうのではないかという恐れが、踏み止まらせる。

そもそも、千沙さんが俺を許してくれているとは限らない。
もし彼女に恐怖や嫌悪がにじんだ顔で見つめられたら……。

「おお黒瀬。まだ残っていたんだな、ちょうどいい」

思い悩んでいると、別の案件で外出していた先輩が顔を出すなり、話しかけてきた。

「ちょっと倉庫に行って古い資料を持ってきたいんだ。手伝ってくれないか」
「はい、もちろんです」

過去の事件資料が眠る倉庫には、立ち並ぶ棚に天井すれすれまで段ボール箱や資料ファイルが置かれていた。
先輩はとある棚の一番上の箱を指さした。

「悪いがあれを取ってくれないか?」

先輩の身長は平均より低めだった。
脚立が用意されているが、あの高さには届かないのだろう。
俺は脚立の途中の段まで登りと、箱を持ち下ろした。

「おおサンキュ!」
「いえ」
「いいなぁ背が高いやつは。俺じゃあ脚立に乗って手を伸ばしても届かなくてな。――遅くまで残業か?」

先輩の問いに、答えられなかった。

突然、脳内に閃きが起きて、急速に思考が展開したからだった。

『手を伸ばしても届かない』

その言葉で、すべての疑問が、一瞬で解決した。

「すみません、急用を思い出したので退勤します」

俺は先輩に断るやいなや、急いで身支度を整え、署を飛び出した。

一刻も早く、千沙さんを擁護しなければ――。

最悪の事態も想定しうる状況だ。
パトカーを使う手段も脳裏をかすめたが、渋滞に巻きまれれば元も子もない。
俺は息を切らして千沙さんの職場を目指した。