唱えてイングリッシュ! 〜イジワル魔法使いと不思議な呪文〜

 夕暮れ時の公園に、今日はわたしひとりきり。
 五月になって暖かい日が随分増えたけど、夕方の風は、やけにひんやりとしている。

 ベンチの端に腰を下ろして、わたしは手元の本のページをじいと見つめた。
 本は、英語の教科書。
 今着ている制服と一緒で、まだピッカピカに新しい。
 わたし、琴原まひるは、この春に中学生になったばかりだ。

 ちなみに、別に面白いから教科書を読んでいるわけじゃないよ。
 何なら、見つめているだけで頭が痛くなってくるくらい。
 そう。わたしは、英語が大の苦手なのだ。

「うう、やっぱり全然わからない……」

 今日はついに、中学生になって初めて、英語のテストを受けた。
 みんなスラスラと解答欄を埋めていた(ように、少なくともわたしには思えた。テスト中に周りは見られないけど、鉛筆やシャープペンシルが紙の上を走る音がカリカリと聞こえていたから)けど、わたしの頭の中は、テストの間中、ハテナでいっぱいだった。

 放課後は、どうしても真っ直ぐ家に帰る気になれなくて、近所の公園で教科書を開いてみたーーものの、わからないものはやっぱりわからない。

「うええ、どうしよう……」

 ガックリとうなだれた、その時。

「それ、英語の本か?」

 声が、頭の上に降った。
 夏、グラスの中で氷が鳴るみたいな、澄んだ、目が覚めるような声だった。

 びっくりして顔を上げる。
 目の前に、知らない男の子が立っていた。

 サラサラの髪は青みがかった淡い灰色だ。光の加減で、声と同じく、氷みたいに透き通って見える。
 前髪から覗く切れ長の目は、長いまつ毛に縁取られていて、瞳も、髪と同じ氷の色。

 とにかく、とてもキラキラした男の子だ。
 年齢は、わたしと同じくらいかな?
 背が高いし、大人っぽいし、もしかしたらちょっと年上かもーー?

「おい。それは、英語の本か?」

 ボーッとしているわたしに焦れたのか、男の子が、もう一度言った。

「えっ? あ、うん! これ、英語の教科書だよ。中学一年生の」
「教科書……ってことは、お前、英語を勉強しているんだな?」

 変な質問だ。
 それに、あんまりキラキラしてるから気づくのが遅れたけど、男の子の格好もちょっと変わっている。
 ゲームや漫画の中の、魔法使いみたいな服を着ているのだ。
 ローブ、って言うんだったっけ。コスプレなのかな? すごく似合っててカッコいいけど、知らないキャラクターだ。

「英語を勉強しているんだよな?」

 男の子がまた尋ねる。
 その声にはーーわたしの気のせいじゃなかったらーー祈るような、切実な響きがあった。

「ええっと……まあ、一応? 学校で習ってはいる……よ?」

 戸惑いながらも、答える。
 うん、嘘は一つも言ってない。
 学校でも(全然理解不能だけど)英語の授業は真面目に受けているつもりだし、今だって、(少しも頭に入ってこないけど)自主的に教科書と向き合っていたわけで。

 心の中で言い訳しながらのわたしの答えに、男の子はホッとしたように表情を緩めると、

「俺は、エイト」

 と、ぶっきらぼうに名乗った。

「あ、わたしはまひる。琴原まひる……です」
「まひる、だな。頼む。力を貸してくれないか?」
「へっ?」

 思わず、間の抜けた声が口から漏れる。
 力を貸す? 突然? 一体、何をするのに助けが必要なの? そもそも、初対面のわたしに頼んじゃっていいの? 危ないことだったりはしない?

 頭の中に、テストの時に負けないくらいたくさんのハテナマークが浮かんだけど、目の前のエイトは、真剣な、少し緊張したみたいな顔をして、わたしの目をじっと見つめている。

「……いいよ」

 気づけば、わたしは頷いていた。

「わたしにできることなら、手伝う」

 エイトの氷の瞳が、キラリと輝く。
 いかにも嬉しそうな、意外に子供っぽい笑顔になって、

「やった! 契約成立だな」

 と、エイトは、わたしの右手を握った。

「ひゃっ! えっ、何、何、何!?」
「暴れるな! 悪いが、撤回はさせないぞ。ーーイズ・アム・アー! 我と彼とを結びつけよ!」

 エイトが謎の呪文? を唱えると、繋がれたわたしたちの手から、青い光が迸った!

 眩しさに目を瞑る。
 しばらくして、そうっと目を開けると、

「……何、これ?」

 右手首に、シールを貼ったみたいに、青い星が浮かび上がっていた。
 エイトが、自分の右手首(わたしのと同じ、青い星が光っている)をこちらに向けてみせる。

「何って、契約の印だろ?」
「は? え? けーやく?」
「恩に着るぞ、まひる。お前がパートナーになってくれたおかげで、マジカリエの門を開くことができる」

 いやいやいや!
 パートナーって、どういうこと!? ていうか、マジカリエって、何!?
 一体、何が起こってるのーー!?

 混乱するわたしに背を向けて、エイトが、人気のない砂場に向かって手をかざす。

「イズ・アム・アー! 異世界の門よ、姿を現せ!」

 エイトの手首の星がキラリと光ったかと思うと、ほとばしる青い光が、公園中を満たした。
 ベンチから立ち上がれずにいるわたしを置き去りにして、ゴゴゴゴゴと、うなるような音が辺りを揺らす。
 砂場のあたりの空気がグニャリとよじれて、渦を巻いた。

 そしてーー

 渦の中心から飛び出した何かが、こちらに向かって勢いよく飛んできて、そのままわたしの顔にボフン! とぶつかった!

「痛……く、ない……?」

 あれ? と首を傾げる。
 わたしの顔面に突撃した何かは、今は、わたしの膝の上に転がっていた。

 それは、真っ白ふわふわの羊のぬいぐるみだった。
 首元には、深い緑色の蝶ネクタイをつけていて、それがまた可愛い。
 思わず手を伸ばそうとしたところで、

「いててて……。全く……何の騒ぎですか……」

 膝の上の羊が、ムクリ、と起き上がった。
 そうして、羊は、辺りへと目を配ると、

「おや! エイト様ではないですか」

 と、エイトに向かってちっちゃな手を振る。

「ドリー? 何で、お前がここに……」
「それはこちらの台詞です! 何が起こっているのか、きちんと説明を……」

 エイトと羊が、やいやいと言い合っている。
 わたしの口から、

「ぬ……」

 と、声が漏れた。
 一人と一体が、こちらを振り返る。

「ぬいぐるみが喋った! 動いた! ていうかなんか光ったし! あと手首の星マークも……」

 混乱するわたしを見て、羊(ドリーって呼ばれてたっけ)は、やれやれとため息をつくと、

「エイト様。ワタクシより先に、こちらのお嬢さんに事情を説明した方が良さそうですね」

 じとりとエイトを見て、言った。



*****



 エイトとドリーの話をまとめると、こうだ。

 エイトとドリーは、わたしたちが暮らしている地球とは別の世界の人間(ドリーはぬいぐるみだけど)らしい。
 エイトたちの世界はマジカリエという名前で、なんと、ゲームや漫画に出てくるみたいな魔法が、本当に存在しているんだって!
 そして、マジカリエの魔法の力は、異世界の言葉『英語』によって生み出される。
 だから、英語を理解することで、強い魔法や、色んな種類の魔法を使えるようになる……とのこと。

「ワタクシは、魔法使いの皆様のサポートをするお手伝い羊。そしてエイト様は、マジカリエの平和のために戦う正義の魔法使いなのです! ですが……」
「しくじって、敵の魔法使いに別の世界に飛ばされた。マジカリエに帰るには、俺の魔法の力だけじゃ、とても足りない」
「それで、まひる様の力を借りようとしたわけですね」
「ああ。英語を学んでいる人間と運よく接触できたと、早速契約を結んだんだが……」

 じろりと、エイトがこちらをにらむ。

「……この体たらくだ。マジカリエに繋がる門を呼び出すはずが、呼び出せたのはドリーだけ。魔法の力を借りるどころか、力が弱まった気さえするんだが? お前、英語のことが、何一つわかってないだろ」
「うっ」

 図星すぎる。
 まさか、エイトの力が弱まるくらい、わたしの英語の理解が低いなんて……。

「で、でも、エイト、魔法のことも英語のことも、何も説明しなかったし! 力を貸すとは言ったけど、契約とかパートナーとか、知らないもん!」
「うっ」

 今度は、エイトが気まずそうに目をそらす。

「全く、まひる様の言う通りです! まひる様が英語を全然ちっとも理解していないのはさておき、今回のことは、まひる様を巻き込んでおきながら説明を怠ったエイト様の不手際ですよ」

 一言多い。明らかに一言多いんだけど、でも、ドリーもわたしの味方だ。

 エイトは、難しい顔のまま、右を見て、上を見て、ため息を吐きながら下を向いて、

「……悪かった」

 と、何とか謝った。
 す、素直じゃないな〜!

「その契約っていうの、他の人と結び直せないの?」
「できなくはないが、今は魔法の力が足りないからな。魔法の力が高まれば、契約の結び直しも可能だ」
「それって、つまり……」
「契約を破棄するにせよ、当初の目的を達成することを目指すにせよ、エイト様とまひる様は共に英語を学び、理解を深めなくてはならないということですね」

 サラリと、ドリーが言う。

「そ、そんなぁ……」

 わたしは、思いっきり肩を落とした。



*****



 エイトとの契約をどうにもできないままに、次の日の朝がやってきた。
 わたしは超寝不足で、学校に向かう途中も、ずっとあくびが止まらない。
 昨日、エイトたちと別れた後も、これからどうなっちゃうんだろうってあれこれ考えてしまって、夜もまともに眠れなかったんだ。

「おはよう、まひる」

 もう一度欠伸をしたわたしの背中に、声がかかる。

「あ。おはよ……う?」

 反射的に笑顔で振り返って、わたしは、ニッコリ顔のまま固まった。
 わたしと同じ英光学園の制服を着たエイトが、立っていたからだ。

「おはようございます、まひる様!」

 エイトの肩には、ドリーが乗っている。
 ぬいぐるみを連れて登校するのってアリなのかな……じゃなくて、それより!

「な、何で……?」
「何でって、昨日、お前が言ったんだろうが。学校で英語を習ってるって。俺も、英語の力をより強める必要があるからな」
「い、言ったっけ……? いや、言ったかも……言われてみれば、言ったような気もする……?」
「間違いなく言った。お前、記憶力を鍛えた方がいいぞ」

 ムカッ。今日も失礼だ。
 それに、

「エイトは、マジカリエの人間なんでしょ? 日本の学校に通えるの?」

 わたしの質問に、エイトは、ニヤッと笑った。

「問題ない。俺には、魔法があるからな」
「魔法って昨日の、イスがなんちゃら〜みたいなやつ?」
「イス?」
「ほら。契約を結んだ時とか、ドリーを呼び出した時とかに叫んでたでしょ?」

 わたしがそう言うと、エイトは、苦い薬を飲んだ時みたいな顔になる。

「お前、イズ・アム・アーを知らないのか?」

 エイトが、深いため息を吐いた。
 また馬鹿にされた……? と一瞬腹が立ったけど、思いの外、深刻な表情だ。

「イズ・アム・アー。学校で習ってはいないのか?」
「え、ええっと……」

 ど、どうだったっけ?
 言われてみれば、聞いたことがあるような気もするんだけど……。

 エイトの視線に耐えかねて、明後日の方向に目を逸らす。
 塀の上に、金色の猫が寝そべっているのが見えた。
 野良とは思えない優雅さだけど、どこかのお家から脱走してきたんじゃないよね……?
 ふと顔を上げて、こちらを見た瞳の色は、綺麗な緑色でーー

「まひる様」

 ドリーの声に、我に返る。

「は、はいっ!」
「英語で自己紹介をする時は、どうするのでしたか?」

 うっ。こ、こんなところで英語の勉強?
 文句を言いたくなったけど、ドリーと、それからエイトも、こちらをじっと見つめている。
 仕方なく、わたしは答えを捻り出した。

「ええと、確か……“I am Mahiru.“……だっけ」
「素晴らしい! 今の『am』こそが、イズ・アム・アーの『アム』ですよ!」

 ドリーが、エイトの肩でぴょいと跳ねる。

「『am』が、『I(わたし)』と『Mahiru(まひる)』を一つに結びつけたのです! 言葉と言葉に握手をさせる。そういう力が、イズ・アム・アーにはあるのです!」

 力説するドリーを前に、わたしはなるほどと頷いた。

「……俺が今朝、呪文と一緒に唱えたのは、“I am a student.“だ。『a student』は『生徒』もしくは『学生』だな。つまり……」
「『I(わたし)』と『a student(生徒)』を『am』が結びつけるから……意味は、『わたしは生徒です』。そっか! それでエイトは、学校に通えるようになったんだね!」
「まひる様、お見事です!」

 ドリーがまた跳ねる。

「ちなみに、この結びつける力を応用して、昨日、エイト様はまひる様と契約を結んだわけですね」
「成る程〜。もしかしてドリーを呼び出したのも、わたしたちの世界とマジカリエを結びつけた……ってこと?」
「その通りです! 素晴らしい!」

 ふっふっふ。
 そんなに褒められると、わたし、調子に乗っちゃうよ〜。

「エイト様! この調子でしたら、我々がマジカリエに帰れる日も遠くないかもしれませんね」
「ドリー、はしゃぐなよ。コイツに期待するな」

 浮かれた気分を、エイトの言葉がサッと拭う。

「エイト様。そのような言い方は……」
「ほら。もう行くぞ」

 ドリーの言葉を遮って学校に向かって歩き出したエイトは、もう、こちらを見ることすらしなかった。



*****



「あーもう、最悪だよ……」

 放課後、家に向かう道を辿りながら、悪夢の一日を振り返る。
 一時間目の数学授業ではわからない問題を先生に当てられて、二時間目の社会は寝不足が祟ってうとうと。しっかりバレて叱られてしまった。
 その後もあれこれと災難が続き、五時間目の体育では、バスケットボールを頭でキャッチしてしまったのだった。大きなケガをしなかったのだけが、不幸中の幸いだ。

 エイトは、わたしのクラスに転入してきた。
 でも、あれから一度も口をきいていない。
 クラスの子に話しかけられておしゃべりするエイトは、わたしといる時と違って、ちょっと表情が柔らかいように見えた。
 それも何だかーー何でかはわからないけどーー胸の辺りを妙にもやもやとさせる。

「はあ……」

 ため息が、口からこぼれた。
 と、その時。

『にゃー』

 甘い鳴き声が、辺りに響いた。
 声の方を見やれば、近くの塀の上に、今朝も見かけた金色の猫がちょこんと座っている。
 緑色の瞳が、不思議に輝いた。

『なぁん』

 猫が、しなやかに道路に飛び降りる。
 くるくるとわたしの周りを回った後で、猫は、こちらに背を向けると、ゆっくりと歩き出した。

 ツヤツヤのしっぽが、ゆらゆらしている。
 それを眺めているうちに、何だか頭がぼうっとしてきてーー

 ーーわたしは、猫の後ろを、夢の中にいるような心地で歩き始めた。



*****



「いや! ここどこ!?」

 気づくとわたしは、知らない通りに立っていた。

ズラリと並ぶ四角い建物の群れには、奇妙なことに扉が一つもない。
 あちこちにデタラメに立っている看板や標識には、見たことのないヘンテコな文字が踊っている。
 さらにさらに、見上げた空の色は、いちごミルクみたいなピンク色だ。

 もう、絶対に魔法絡み! 間違いないでしょ。

「うう、歩いても歩いても、知ってる場所に出られない……」

 通りに人の気配はなく、金色の猫も、いつの間にか姿を消していた。
 お腹が空いたし、歩きっぱなしで足が痛い。
 それに、何よりも心細かった。

 涙が溢れそうになる。
 不思議でさみしい世界に、今のわたしはひとりぼっちだ。

「……エイト」

 口から、勝手にその名前がこぼれた。
 エイトならきっと、魔法ですぐに、問題を解決できるはずだ。
 でも。

 ーーコイツに期待するな。

 今朝聞いた、エイトの冷たい声が頭に響いた。

「……来てくれない、よね」

 エイトにとって、わたしは別に、大事でも何でもない。
 英語が苦手な、役立たずのパートナーなんだから。

 わたしがうつむいた、その時。

「まひる!」

 たったの二日ですっかり耳になじんだ、氷の色をした声が、ハッキリと私を呼んだ。
 涙でにじむ視界に、氷の色をまとった、キラキラの男の子が映る。

「エイト……」

 キラキラの瞳が、私を見つめる。
 自分が泣いているせいか、エイトの顔が、泣きそうにゆがんで見えた。

「まひる、ケガはないか?」
「うん……うん……」

 また、涙があふれる。
 ボロボロと泣く私の手を、エイトがそっと握った。
 氷みたいな男の子の手のあたたかさが、心の奥にまで、じわりと染みていく。

「……悪かった。こんな目に遭わせて」

 遠慮がちに、ポツポツとエイトが口を開く。

「恐らく、俺のパートナーとして、マジカリエの刺客に狙われたんだ」

 し、刺客……?
 不穏な言葉が飛び出して動揺したけど、エイトがあまりにも辛そうな顔をして見えたから、とりあえず黙ったままでいることにする。

「今朝のことも……ごめん。まひるは、たぶん本当に英語が嫌いなんだなと思って、これ以上お前を巻き込むのはやめて、何とか自分だけでマジカリエに帰る方法を探そうとしたんだが……」
「それにしたって、言い方というものがあります! 何が、『コイツに期待するな』ですか!」

 いつの間にかエイトの頭に上っていたドリーが、ぷんすかと騒ぐ。
 本当にその通りだ。口が悪いにも程がある。
 でも、エイトが私を見限ったわけじゃないとわかって、私はちょっと、ホッとしていた。
 何より、こうして助けに来てくれたこと。
 そのことが、特別嬉しい。

「あのね、エイト。私、英語、嫌いじゃないよ」
「え?」
「とっても、すっごく、苦手なだけ」

 だから。

「英語のこと、ちゃんと一緒に知っていくから。だから、エイトのこと手伝わせてよ。わたしたち、一応、パートナーでしょ」

 まっすぐに、エイトの目を見て伝える。
 エイトは、ビックリしたみたいに目をぱちぱちとまたたいて、それから、

「……ありがとう」

 と、くしゃりと笑った。
 やっぱり、こうやって笑うと、ちょっぴり子供っぽい顔になる。

「さあさ! では、まひる様の町に帰りましょう!」

 ドリーが、明るい声を出した。

「何、簡単です! 元いた場所と、ご自身を結びつければ良いだけですから!」

 わたしは、エイトの方を見た。

「ということは……」
「ああ」

 エイトが頷く。
 そして、

「「イズ・アム・アー!」」

 自然と手を繋ぎ、わたしたちは、初めて声を揃えて、呪文を唱えた。
 手首の青い星が、眩く光る。

 さあ、わたしたちの町に帰ろう。
 知りたいこと・学びたいことが、エイトと出会った今のわたしには、たくさんあるのだ!