Cherry Boy


「3年間ありがとうございました。楽しかったです」

佐藤がハンカチで目元を拭い、教室を後にする。

最後の学活を終えて佐藤が去り、静かになった教室に女子たちのすすり泣きがやけに大きく響く。

「全員で写真撮ろ!」

矢島がそう呼びかけると、生徒たちが一斉に立ち上がる。

「後でクラスラインで送るからな」

矢島はポチポチとスマホを操作し、証書フォルダと卒業アルバムを器用に使ってスマホを立てる。

「いいなー?10、9、8、7…」

急いで僕たちの列に入った矢島が、「3、2、1…」と、小声でカウントを始める。

そのカウントに合わせてフラッシュが明滅し、教室に撮影音が響いた。

「送っとくなー」

トートバッグの奥底に入れていたスマホを手に取る。

まもなく、クラスLINEに写真が送られてきた。

写真をダウンロードして僕の顔を拡大する。

画質が粗くて分かりにくいが、僕は想定よりも笑って写れていた。