「城瀬、投げて」 花宮さんを一方的に眺めていると、隣にいたクラスメイトにボールを手渡された。 ボールを受け取り、構えると花宮さんの眠たげな視線が僕をとらえているのが見えた。 その視線で、手元のボールが存在を強く主張してくる。 ボールが手汗で滑りそうになるのをこらえ、4組のコートにストレートを投げ込む。 僕が全力で投げたストレートは4組の男子の肩にぶつかり、3組のコートに落ちた。 山倉が4組のコートにボールを投げるのを横目に、僕は小さな達成感とともに自分のクラスのコートに戻る。