Cherry Boy


「あっぶな」

僕の右を、黄色と青のバレーボールがかすめる。

後ろでボールをキャッチした矢島が、フリスビーを投げるようにボールを投げた。

相手チームの男子生徒の足に当たったボールが跳ね返り、さらにほかの男子生徒にも当たる。

「2人アウト!」

長瀬が吹いた笛が体育館の天井に響き、3組の女子たちの声援が1段階大きくなる。

「がんばれー!」

「矢島負けんなー‼」

女子たちの声援から意図的に意識をそらすと、肩にわずかに何かが触れた。

「涼、外野」

ぼんやりしていると、僕の背後でボールをキャッチした山倉が耳打ちした。

返事して外野に走る途中でなんとなく振り向く。

コートから外れたボールが花宮さんの頭上をふとかすめ、彼女がきっちり束ねられたポニーテールをほどいているところだった。

手ぐしでざっくり整えられただけのきれいな茶髪が、紺色の体操服に(いろどり)を添えている。