Cherry Boy


「ごちそうさま」

小さくつぶやき、弁当をカバンに片付けて、手持ち無沙汰になった僕は廊下に向かった。

眠くなるほど暖房が効いていた体育館とは正反対に、廊下は怖いくらい冷えていた。

スラックスのポケットからカイロを取り出し、手を温めながら歩いていると聞き覚えのある声が僕の耳朶(じだ)を打った。

「すーずくん」

かなり後ろの方から声が聞こえたはずなのに、一瞬で距離を詰めた優香さんが、人懐っこい笑みを浮かべる。

「国語と社会、めっちゃむずくなかった?」

「ですよね。」

後ろから男子生徒がやってきたので、僕たちは廊下の端に身を寄せた。