1週間後の2月7日。いよいよ今日、一発目の県内私学入試が始まる。
僕は高校までの経路をメモした手書きメモを何度も確認しながら、5番ホームで電車を待つ。
他の制服を着た中学生たちがホームに降り立っていく様子をそれとなく眺めていると、見覚えのある頭がこちらに近づいてくるのが見えた。
「おはよ」
白い息をたなびかせながら僕に声をかけたのは、優香さんだった。
「おはようございます」
「清湖受けるって言ってたもんね、涼くん。一緒にがんばろ」
ホームに電車が滑り込んでくる。風圧で優香さんの短い髪やスカートがばたばたとはためいた。
なんとなく隣り合って電車に乗り込み、空いている席に座る。
優香さんは1mほど離れた右隣に座った。
ガタンガタンと不規則な電車の揺れに揺られていると、右の車両から見覚えのある顔が移動してきた。
いつもよりも高めに結ばれた1つ結びに、一重の親しみやすさを醸し出す目元。小山さんだ。
向かいの列の席に座った小山さんが、顔をあげて僕に軽く会釈する。
「あの子、涼くんの同級生?」
さりげなく距離を詰めてきた優香さんが、声を潜めてそう問うてきた。
「うん。話したことはないけど」
「そっか。」
優香さんがこくりと頷き、歯を見せて柔らかく微笑むと、彼女の淡いピンクの唇から八重歯が顔をのぞかせた。



