Cherry Boy


「「いらっしゃーい。」」

学校帰り、『Cherry』に直行すると浩さんと春上さんが僕を迎え入れてくれた。

「こんにちは」

アウターをハンガーにかけ、適当な席に腰かけてカバンを下ろす。

「あ、涼くん!久しぶりー。そしてあけおめ」

その声とともに、制服姿の優香さんがカウンターの内側からにゅっと顔を出した。

「あ、優香さん…学校は?」

「進路検討会で、午前授業」

緑色のチェックのプリーツスカートをふわふわと揺らしながら、優香さんがちゃっかり僕の隣に腰かけてきた。

クリスマスイブに会った時と同じ、さわやかな柑橘系の匂いが僕の鼻腔をくすぐる。

「涼くんもお疲れさま」

優香さんが柔らかい笑みを浮かべるが、花宮さんの笑みとは違って僕の心には何も起こらない。

僕にとっての彼女は、あくまで『他校の同級生』でしかないから。