Cherry Boy


「おかえりー。ご飯できてるから早く座って」

家の扉を開け、アウターとマフラーを脱ぐと食卓にサラダを置いていた母親が顔を上げた。

「今日はクリスマスだから、ジュース買ってきたぞ」

冷蔵庫を開けた父親が、炭酸入りのオレンジジュースが入ったペットボトルを取り出す。

「やった。ありがと」

食器棚からガラスのコップを取り出してから炭酸入りのオレンジジュースを受け取り、手元のコップにガラガラと氷を入れる。

ダイニングテーブルの椅子に座り、ペットボトルのふたを開ける。

ぷしっ、と小気味良い音とともに、ペットボトルに閉じ込められた炭酸の泡が立ち上った。

「「「いただきまーす!」」」

グラスをかつんとぶつけ合い、目の前で湯気を上げるグラタンをスプーンですくう。

「チーズ入れすぎたかも」

母親がマカロニを頬張りながらそう言ったので、「チーズはあればあるほどいいから」と返答する。

「ならよかったー。せや、明日どっか遊びに行かん?」

「あー…」

なんとなく僕が口を濁すと、「まあ今はそういう時期だもんな。インフルとか怖いよな」と父親がフォローしてくれた。

「うん。家で勉強するつもり…」

父親のフォローに乗っかるようにしてそう言うと、紙で指を切ったときみたいに心がピリピリ痛んだ。