「おふざけはこの辺にしといて。中学生くんは進路どうするか決めたの?」
優香さんがカクテルグラスをそっと持ち上げ、真剣な表情で僕を見てくる。
「南陵受けて、滑り止めで清湖の男子部受けるつもり」
そう返事すると、「まじ?私も清湖の女子部受けるつもり。偶然ー」と優香さんが僕の肩をつかんでぐらぐら揺らしてきた。
でも清湖は女子部と男子部で校舎が違うので、あまり一緒の高校という感じがしない。
「あそこ、女子部も男子部も制服可愛いから人気なんだよ」
「そうなん?」
ズボンのポケットに入れていたスマホを取り出すと、スマホと一緒に入れていた500円玉が落ちた。
金属と床がぶつかる甲高い音が店内に響き、我に返った僕は慌てて500円玉を拾い上げてズボンのポケットに押しこんだ。
何事もなかった風を装い、僕は検索エンジンに『私立清湖高校』と打ち込んで1番上にヒットした公式ホームページを開いた。
『学校案内』をタップし、『制服』の項目をタップすると画面に大きく制服の写真が出てきた。
女子部は紺色のブレザーに青の斜めストライプのリボン、グレーとワインレッドのチェック柄のプリーツスカートで、男子部は同じく紺色のブレザーに、リボンと同じ柄のネクタイ、チャコールグレーのスラックスだ。
「あ、確かにおしゃれ」
「それな。併願で受験するつもりやけど、制服かわいいから滑り止めとかそーゆーんじゃなくて、純粋に行きたくて」
キラキラした瞳で優香さんが僕のスマホをのぞいてくる。なんでうらやましいかはわからないけど、なんとなくうらやましかった。



