そうしていると、「少年、恋してるだろ?それも甘ーい初恋」と浩さんからとんでもないアクションが飛んできた。
「これでも元精神科医なんでね。人の気持ちを推し量るのには自信ありなんですよ」
そうやって意地悪な笑みを浮かべる浩さんに、僕は奇声を上げて逃げ出したくなるような衝動に駆られた。
「初恋相手は…花宮さん?君の隣の席の」
初恋相手を井倉に言い当てられて、心臓がどくんと嫌な音を立てる。
「授業中、手止めてよく見てるよね。先生はそういうのをよく見てるのよ」
そう言ってわけ知り顔で微笑む先生に、僕は「はい、その通りです…」と項垂れた。
「やっぱりね。先生と君の秘密にしといてあげるから。というか花宮さんって、初恋相手にするには難易度高くない?」
あの子、掴みどころあるようでないし、とまるで他人事のような態度をとった井倉に、心の中でこっそり同意する。
確かに花宮さんは、よくわからないところで笑ってツボに入るし、かと思ったら誰かに冷たい視線を送っていることもある。
気まぐれな猫みたいな彼女に恋をしたのは事実だし、難易度が高かろうが何だろうが僕は恋をかなえたい。
「まあ、頑張れよ少年。ちゃんと告らないと、後悔するからな」
浩さんがにこっと笑う。
初恋をしていることと、初恋相手を先生に知られていたことという2つで、逃げ出したくなりそうだったけど、僕は何とか平静を装って笑うことができた。



