「受験生ってなると、親もうるさくなるよなぁ。」 飄々(ひょうひょう)とした表情の春上さんが言い放つ。 「俺が涼くんくらいの頃も、親うるさかったなあ。」 食器棚のほこりを払っていた浩さんが何かを懐かしむように微笑む。 「勉強しろって言われても、何すりゃいいかさっぱりだよな。受験生あるあるだろ」 「確かに。」 浩さんがさっぱりした口調でそう言い放ったその瞬間、『Cherry』のドアベルが静かな店内に響く。 そちらに視線をやると、そこにいたのは我がクラスの理科の教科担任、井倉だった。