すると、調度良いタイミングで、院の中から複数の男性が現れた。
「待ちなさい!ドリュミュン院長!」
ただならぬ雰囲気だ。私は震える院長先生を後ろにやり、1歩前に出た。
当然現れた怪しげな人間に、男たちも足を止める。
「どちら様か存じ上げませんが、そこをおどき下さい。我々はそこのテリー・ドリュミュンに用があるのです」
「ご要件は私がお伺い致します」
男たちは軽く目を見張った。
私は声すらも相手を魅了する。できるだけ会話は避けたい。
「子供たちもおりますので、どうか乱暴はご容赦いただきたい。お話は応接室でお伺い致します」
「話し合いは不要です。そこをどいてください」
剣を軽く手にかけ、その刃をチラつかせる。
「なっ!?子供たちの前で、なんてものを!!」
私が女だから、ビビってどくとでも思っているのだろう。
これは脅しだ。
もちろん彼らが血なまぐさいことを引き起こすことはない。
が、周りはそう冷静にはいられない。
「キャー!!」
「うぇぇぇん」
ただならぬ雰囲気に泣き出してしまう子供たちが続出。
「みんな落ち着いて!」
なんとかコニーがみんなを宥めているけど……。
「や、やめとくれ。死にたくないぃ〜」
問題は院長先生だ。
「落ち着いてください、先生。大丈夫です、私がお守りしますから」
「やだ、殺さないで、殺さないで!!」
錯乱していのか、私のローブを強く引っ張ってくる。
「やめてください、先生!」
困る。本当に困る。万が一にもローブが落ちたら、顔を、体を晒してしまったら……!
やはり、魅了を使うべき?けど、一度にこの人数は……。
