「ねえ、起きて、」
そんな声が聞こえたような気がした。
目を開けると、森の中にいるようだった。

「ここは、どこ?」と言って、あたりを見渡すと、普通の猫よりは大きめの猫がこっちに向かってきた。
「あ。猫ちゃんだ!」と私が言うと、「君は誰?私は、イリオモテヤマネコのリン。」と猫が言った。私は、驚いて、「え、猫がしゃべった!私は、香奈。」と言った。

 すると、リンが、「香奈ちゃん、こんにちは、ここは、私たちイリオモテヤマネコが暮らしている森だよ。」と教えてくれた。私は、「リンちゃんは、おうちの近くの野良猫ちゃんよりもすごく大きいんだね。」と言うと、リンは、「うん。イリオモテヤマネコはヤマネコだから、野良猫よりも大きい。でも、私たちは、日本の沖縄県にある西表島という小さい島に居るから、世界にいるヤマネコよりは小さめなんだよ。そうだ、香奈ちゃん、私たちイリオモテヤマネコは絶滅危惧種なんだけど、絶滅危惧種って知ってる?」

 私は、「絶滅危惧種…?」と言って、考えた。「名前は、聞いたことあるんだけど、詳しくは分からない。」と言うと、リンは「じゃあ、今から私が香奈ちゃんに絶滅危惧種について、教えてあげるね!」と言って、変身して二足歩行になった。

 私は、驚いて、「え、二足で歩けるんだ。」と言うと、「ここは、香奈ちゃんの夢の中だからね。」とリンが言った。
 「香奈ちゃん、絶滅って言葉は聞いたことある?」とリンが聞いた。「地球から、居なくなること?」と私が言うと、「そう、でも、絶滅はただ死ぬことじゃなくて、種が居なくなることなんだ。一度、種がなくなると、二度と元に戻らないんだ。」とリンが言った。
 「二度と元に戻らない?」香奈は、まだ絶滅という言葉を完全に理解できておらず、少しリンは大袈裟だなと思っていた。
 リンは、「そう、二度と元に戻らないの。例えば、人間の多くがペットとして飼っている犬や猫は、同じ種の個体がたくさんいるから、もし、亡くなってしまっても、亡くなった子と似た個体をもう一度飼う事が出来るよね?でも、もし、絶滅してしまえば、それが出来ないの。」と言った。私は、「そうなんだ。」と言った。
 「でも、今の例は、飼育されている動物だから、あまり重要さが伝わりずらかったね。野生の話になるともっと理解できると思う。野生の動物はね、お互い関り合いながら生きてるの、直接的な交流がなくても関節的に影響し合ってるんだ。中には、人間も資源として受け取ってる動物もいるんじゃないかな。一番分かりやすい説明が出来そうなのはラッコかな。香奈ちゃんちょっと目つぶって。」とリンが言った。
 目を閉じて少しして、「香奈ちゃん、目開けていいよ。」とリンが言ったので、目を開けると、目の前には海が広がっていた。
 「リンちゃん、さっきラッコが絶滅危惧種って言った?」と私が聞くと、リンは「そうだよ、今からその説明をするから見ててね、ここは、ラッコが生息している海、ちょっと潜ってみて!」とリンが言った。
 私は、リンちゃんに着いて行き潜ってみると、昆布などの海藻の森があった。陸に上がりリンが尋ねた「じゃあ、香奈ちゃんに問題です。ラッコが居なくなるとどうなるでしょう?」私は、「分からない。」と言った。
 すると、リンは「ラッコは、ウニを食べます。では、ラッコが居なくなるとウニはどうなる?」と聞いた。私は「増える?」と言うと、「正解!じゃあ、ウニは、さっき見た昆布などの海藻を食べるんだけど、ウニが多くなると、どうなると思う?」とリンが言った。私は、「海藻が無くなる。」と答えると、「大正解!」とリンが言った。
 「でもね、それだけじゃなくて、昆布には二酸化炭素を多く吸収することが出来て、昆布が減ってしまうことによって、本来昆布の中にいるはずだった二酸化炭素が空気の中に行ってしまうことによって、地球温暖化が進んでしまうんだ。」とリンが言った。
 「え、そ、そうなんだ。ラッコが居なくなるだけなのに、そんなすごい事が起きてしまうんだ。」と私は驚いた。

 「そうだよ、こんなのなんてまだまだ序の口、2025年の10月時点で、48,646種の動物が絶滅危惧種に指定されているんだ。その理由は、多くの場合が人間が関わっている。中には動物同士の争いとかが関係している場合もあるんだけど、今、紹介したラッコも、人間の毛皮目的による乱獲が大きい原因なんだよ。」とリンは言った。
 私は、「え、4万?ほとんどが人間が原因?」と初めて知ることが多く、これ以上何も言えなかった。「香奈ちゃん、このままだと、みんな地球に多くの生き物がいるのは当たり前って思ってることが、長くは続かなくなってしまう、私は、多くの人に知って欲しい。助けてあげて。」とリンが言った。

 私は、「分かった、いつか絶対、助ける。」と言った。リンが、「香奈ちゃん、絶滅危惧種について分かってくれた?今から、もっと色んな動物を見に連れて行きたいんだけど、ついて来てくれる?」と言った。
 私は、「うん、リンちゃんと会う前よりは、すごく理解できた、絶滅危惧種についてもっと知りたい。お願い、連れて行って。」とお願いした。