名無し

やっぱりモノとして扱われてるんだ。


口の中のものはどんどん味がしなくなってきた。


まわりの音が遠くなって、一人だけ置いてけぼりされたみたいだ。


席を立ったり、笑ってたり、行動は目に見えているのに、音が聞こえない。


すると、さっきの組員が目の前に来て、ハッとした。


その人は、「もう腹いっぱいか?」と感情がこもっていないくせに心配したような顔で聞いてきた。


怖い


その感情だけが頭の中でぐるぐると回っている。


どう返事しようか。


正解が見えず、小さく頷くしかなかった。


私の反応を見ると、男は何も言わずに空いた皿をさげていった。


拍子抜けした。


返事をしなかったから、怒られると思った。


今までの生活だったら、絶対に怒られていたのに。


机の上をぼーっとしながら、そんなことを考えていると食堂に誰かが近づいている音が耳に聞こえる。