名無し





あぁ。毎日が憂鬱だ。


いつも、人に従え、言われるがままだ。


──親の声が、まだ頭の奥で鳴っている。


そんな自分が嫌で家を出たのに、外でも同じような事ばかりだ。


重い腰を上げ、会社へと準備をする。


ハンガーにかかって、少しよれている。


こんな私に着られる運命がつくづく可哀想だと思う。


スーツを着る。


これを着始めてまだ、半年しか経っていない。


鏡の中の私は、ちゃんと社会人の顔をしている。


……そう見えるだけだ。


鍵を閉めて、外に出る。


朝の街は、同じ顔で回っている。


スマホが震えた。


見知らぬ番号。


胸の奥が、ひやりとした。


そんなことを考えながら、ワイシャツに手を通し、ボタンを首元までとめる。


スマホがまた震えた。知らない番号。


息苦しい。


こんな世界で生きることが。