名無し

まず、条件からだ。と話を始めた。


「ひとつ。逃げない。


ひとつ。俺の許可無く外に出ない。


ひとつ。嘘をつかない。


ひとつ。俺が呼んだら来る。


そして最後に、ひとつ。勝手に死ぬな。」


その声には、有無を言わせない圧があった。


ただ、静かに頷くことしか出来ない。


頷くたびに「いい子だ」と言われる。


その言葉が、首輪みたいに喉に絡んだ。


目の前の男は、部屋を出る前に振り返った。


そして、「とっと食え。体を壊されちゃ困る。」


一瞬、声色が柔らかくなった気がした。


優しさかと思ったが、直ぐにその考えは消された。


「...俺のもんだからな。」


その一言で。


優しさに見えたのは、檻の手入れだった。


籠の鍵が、静かに閉まった気がした。