名無し

早く、食べろ。と急かされる。


逆らったら、ダメな気がしてスプーンを手に取り、シチューを口に運ぶ。


ひとくち食べると、クリームの味がじわりと舌に広がる。


「おい、しい...。」


自然に口から出た言葉だった。


いつぶりだろうこんな美味しいご飯を食べたのは。


下手したら、初めてかもしれない。


あれ、なんか見えにくいなぁ。


なんだろう。


「おい。」


相良 彗は、少し戸惑ったような顔でこっちを見て、手を伸ばしてきた。


反射的に目を閉じると、目元の雫を細くてがっしりとした指がすくいあげた。


「泣くな」って言われてるみたいで、喉がきゅっと縮む。


相良 彗が私の顎を掴み上げた。


逆らうな、と言われてるみたいだった。


「黒田 澪。お前を俺らは歓迎する。ようこそ、相良組へ。」


にやりと男は笑ったが、目は笑っていなかった。