名無し

また、1人になった。


部屋の静寂が私の体を包み込む。


机に置かれたシチューはさっきまで湯気がたっていたのに、湯気が弱々しくなっている。


今の私みたい。


ベッドに横になると、周りの音が大きくなる。


扉の向こう側で、ガチャガチャと食器の音や、足音が混じっている。


窓の外を見る。


白い鳥が鳴き声を発しながら飛んでいく。


いいな。あの鳥は。


自由に空をとべて


なんの制限もなくて


この窓から逃げてしまおうか。


そんなことを一瞬考えたが、そんな考えをすぐに消した。


そんなことをしたら、影響が出るのは自分だ。


あの人たちに何か起こる訳でもない。


ぼーっとしながら空を見ていると、コツコツと革靴の音がこちらに向かっていることに気づく。


音の雰囲気が違う。


体を起こし、扉を見る。


静かに扉が開く。


入ってきたのは、相良 彗だった。


「ご飯食べたか?って食べてねぇな。」