名無し

相良 彗は掴んでいた頬から手を離し、黒服の男のうち、赤髪の男に命令した


「こいつに部屋を用意しろ。」


その後、「服も一緒に。」と付け足した。


命令された男は、頭を下げて部屋から出て行った。


目の前の男は私に目を向けた。


体が凍りついたような気がした。


その目は、まるで、逃げたらわかってるよな。と言っているようだった。


固まった体を動かしたのは、相良 彗だった。


腕をつかみ引っ張り、立たせた。


足が、がたがたと震えてまともにたてない。


立ち上がった瞬間、視界がぐらりと揺れた。
足に力が入らない。


そんな私を見た、相良 彗は腕を離し、私を抱き寄せお姫様抱っこをした。


……なんで、そうなるの。


「あ、あの...。」


思い切って声を振り絞ると、文句でもあるのかと言わんばかりに、睨まれた。


逃げ道を全部塞がれるみたいな目だった


その目で、言葉が出なくなってしまった。


男は、そのまま私を抱っこしたまま、歩き始めた。