「おはよう。未知ー」



高校の正門をくぐった辺りで親友の梨花から声をかけられた



梨花は自転車通学で、いつもシルバーのティーチャリに乗っている



キィーっと音を立てて梨花の自転車が私の隣で止まった



「おはよう。梨花」



私はいつものように梨花に挨拶を返した



「未知何か今日元気なくない?」



どうした?どうした?



梨花が私の顔を覗き込んで心配している



「元気がないわけじゃないけど…珍しく懐かしい夢見た…」



私はハーと一つ溜息をつきながら憂鬱そうに答えた



「何なに?夢って?もしかしてイケメン過ぎる幼馴染と結婚の約束をしたっていうあの夢?」

 

梨花は中々鋭い



「ビンゴ。正にその夢」



ハーとまた私は溜息が出てしまう…



「未知も諦めが悪いねー。あんなイケメンのモテ男子、思ってるだけ損だよ?」



悪いこと言わないから、もっと別の男子狙いなよー



でも無理か…



一番近くにあんなパーフェクト男子がいたらねぇ…



まあお気の毒…



梨花はある意味憐れみの目で私を見る…



「本当に何で私は隣の家に生まれたんだろう…諦めなきゃいけないのは分かってる…でも、中2までは普通に喋れてたり仲良かったのにさー。ある日いきなり素っ気なくなるとか、何か今だに腑に落ちないんだよね」



私は不貞腐れたように口を尖らせて言ってみた…