〇夜デートから戻る
 夜デートを終え、宿泊用のドームテントとは別棟のロッジでシャワーを浴びた瑛那。
 リビング兼ダイニングからいい匂いがする。
 キッチンに立つ智早を見つけ、少し嬉しそうな瑛那。
瑛那「智早くん、なにしてるの?」
智早「瑛那」
智早「お腹空いてさ。さっきのBBQの残りもらった」
 フライパンで肉や野菜を温め直している智早。
瑛那「BBQ、うちら途中で抜けちゃったもんね」
智早「大志も誘ったけど、夜9時以降は食べないって」
瑛那「あはは、さすが筋肉」
智早「瑛那は食べる?」
瑛那「食べたい、食べたい」
智早「上で食おうよ」
 フライパンから皿に取り分ける。
 ロッジの階段をのぼり、屋根裏部屋へ。
瑛那「すごい、秘密基地みたい!」
智早「こういう家、いいよなー」
 窓際の2人がけのソファに腰かけ、夜食をつまむ。
智早「いやー、ほんと…」
智早「ビビるくらい話せなくて、ビビった」
瑛那「あはは、構文!」
智早「いやマジで」
智早「大志となに話したの?」
瑛那「筋肉の話とか、ラグビーの話とか…」
智早「そんだけ?惚れたりしてない?手出されてない?」
瑛那「な、ないって」
瑛那(ないって言うのも失礼か)
瑛那(でも…2泊3日で好きな人作るとか、結構ムリな話…)
智早「あのクソ筋肉、瑛那を抱っこした時はどう調理してやろうかと思ったぜ…」
瑛那(手つないだとか口が裂けても言えない…)
瑛那(はっ!でもあの映像オンエアされるのか…!)

瑛那「仕事は、順調?」
智早「うん。いい事務所に拾ってもらえてよかった。瑛那と一緒ってのが大きいけど」
智早「中学の頃からたまに、芸能事務所にスカウトされてて。そのどこかに所属できたらって思ってたんだ」
瑛那(そんなにスカウトされてるなんて、さすが智早くん)
瑛那(この顔面だもんなぁ…)
智早「ん?」
瑛那「や、なんでも…」
智早「瑛那こそ、マジで忙しそうだな」
瑛那「忙しいけど、楽しいよ。学校との両立はやっぱキツいけど」
智早「そういや再来週からテストって知ってる?」
瑛那「え…うそでしょ…?」
智早「現実だよ。時間あるとき、勉強会しような」
瑛那「よろしくお願いします~…」

 話しながら、ソファにもたれ、「はー」と息をつく智早。
智早「正直…出遅れすぎて、だいぶ焦ってた」
千原「瑛那と他の男子が2人きりなんて、考えるだけでキツイ。こんなんなら、瑛那と一緒に出演なんて言わなきゃよかった」
 口を尖らせる智早。
瑛那「ぷっ」
智早「なに?」
瑛那「なんか、うろたえる智早くんってレアだなって」
智早「うるせー。笑うなよ」
 智早が大志に『猛禽類』と例えられたのを思い出し、笑い出す瑛那。
瑛那「猛禽類……!!」
智早「なんだよ、猛禽類って」
瑛那「ごめん、思い出しツボった…!」
 いつもと変わらない瑛那の姿に、智早もなんとなくほっとする。
智早「明日はぜってー勝つ!誘うからな!」
瑛那「うん、待ってる」


〇翌日
瑛那モノ『2日目の午前は、全員で観光』
『午後はショッピングモールで自由行動』

 モール内。どの組み合わせで行動するか、様子をうかがうメンバーたち。
女メンバー1「どうしよっか」
男メンバー1「分かれて行動する?」
智早「瑛那!」
瑛那「へ?」
 とつぜん智早に手を引かれる。走り出す智早に、引っ張られて走る瑛那。
男メンバー1「え、ちょ!」
女メンバー1「連れ去るパターン、あり?!」
女メンバー2「かっこいー…!」
女メンバー3「私も連れ去られたい…!」

瑛那「び、びっくりした」
智早「強奪成功!」
 ピースサインをつくり笑顔を向ける智早。
 思わず笑う瑛那。

 2人きりのデートを楽しむ2人。(もちろんカメラマンはいる)
 買い物しつつ、お互いをコーディネートしあう。
智早「あれ?」
智早「瑛那、ピアス開けたの?」
 そう言いながら、瑛那の耳元の髪をかきあげる智早。
 どきっとする瑛那。
瑛那「う、うん。イヤリングだとダンスのとき落ちちゃって」
智早「えー。俺も開けようかな」
智早「お揃いでピアス買おうよ」
瑛那「え、もう開けるの決定?」
智早「うん、開ける開ける」

 そして、2人でプリクラを撮ることに。
瑛那「ポーズどうしよー」
智早「待って、前髪」
 智早が瑛那の顔を覗きこみ、瑛那の前髪を整える。
智早「おっけー」
瑛那「あ、ありがと」
 至近距離の智早に、照れる瑛那。

 コスメショップ。
智早「瑛那、これいい匂い」
瑛那「あ、ハニー系の匂い好き」
智早「だろ?つけてみる?」
瑛那「うん。えっ」
 瑛那が頷くと、智早がさっと瑛那の手をとる。
 瑛那の手に、ハンドクリームを塗る智早。
瑛那「自分で、塗れるのに…」
 赤らむ瑛那。にやりと笑う智早。
智早「ん。いい匂い」
 瑛那の手を自分の口元に近付けて、匂いを嗅ぐ智早。
智早「このまま手つなぐ作戦、だったりして」
瑛那(爽やかの仮面をかぶったメロ王子め…!)
 そう思いつつも抵抗しない瑛那。
瑛那「(歩きながら)智早くん、今日なんか…いつもより距離感近い」
智早「カメラマンさんに撮れ高あげないとね」
瑛那「ほ、ほんとにその理由…?!」
 翻弄されながらも、いやじゃない瑛那。


〇自由行動終了
 モールで再集合した参加メンバーたち。
女メンバー1「どこ行ってたのー?!」
智早「ウロウロしてた」
女メンバー2「一緒に周りたかった~」
 女子メンバーに絡まれて笑顔を見せる智早。
 スマホが鳴る。
男メンバー1「『恋愛ミッション:夜のデート権を賭けた運試しバトル』!」
男メンバー1「『10個の風船のうち、1つだけが当たりです。当たりの紐を引いた1人が、今夜のスペシャルな夜デートの相手を指名できます』」
女メンバー「きゃ~っ」
智早「ここにきて運ゲーか…」
 ドキドキしながら紐を引くメンバーたち。
 当たりを引き当てたのは……