〇事務所にて、LUMICAプロデューサー
プロデューサー「へー、いんじゃない?瑛那がよければ」
プロデューサー「LUMICAはアイドルじゃなくパフォーマーだから。真っ当な恋愛ならむしろ大歓迎」
プロデューサー「“恋リア部”のカップルって好感度高いしね~♪」
瑛那モノ『――というわけで』
『トントン拍子に話が進み…』
〇海辺、恋リア部待ち合わせ場所
瑛那モノ『結局あたしも、“恋リア部”に参加することになってしまいました』
制服姿の瑛那、スーツケース片手に挨拶。
瑛那「百瀬瑛那、高校1年生です。よろしくお願いします」
女メンバー1「うそうそうそ、LUMICAのENA!」
女メンバー2「わたし、大ファンです!」
瑛那「あ…ありがとうございます」
瑛那モノ『そして……』
制服姿の智早もキラキラ登場。
智早「高月智早です。高校1年生、よろしくお願いします」
女メンバー1「イケメン…!」
女メンバー2「メッロ…!!」
そのまま軽い打ち合わせ。
ディレクター「顔合わせが済んだところで…」
「改めて番組主旨の確認です。“恋リア部”のコンセプトは『恋愛合宿』」
「さまざまなミッションをクリアしながら、本当の恋を見つけるための2泊3日の合宿。告白は3日目の夜になります」
「リアリティを大事にしたいから、好きなように動いてOK。会話の内容もあとからカットできるから、あまり撮られてることを意識せず、自然体で、ね」
〇新幹線で移動
智早「瑛那、隣りに…」
女メンバー1「智早くん、一緒に座ろ!」
女メンバー2「わたしも!」
女メンバー3「あ、わたしもいいですか~?」
座席を回転させ、6人席に智早、女子4人、かろうじて食い込んだ男子1人が座る。
4人席に、瑛那と残りの男子3人が座る。
男メンバー1「すごいね、智早くん…モテモテだな」
大志「あ、でも俺、第一印象に瑛那ちゃん入ってるから」
瑛那「え、ほんと?うれしい。えっと…」
大志「日浦大志。第一印象ってか、もともとのファンなんだけど」
大志「“GLOW UP GIRLS”も全部見てて、LUMICAのファンクラブも入ってる」
瑛那「えぇ!うれしすぎるー!」
大志「それはこっちの台詞だよ。まさかENAと共演できるなんて…」
大志「あ、ごめん。つい呼び捨てしちゃった」
瑛那「いいよいいよー」
オーディションやLUMICAの話題で盛り上がる瑛那たち。
横目に見ながら、苛立つ様子の智早。
〇新幹線到着
着いたのは人気観光地。
オフシーズンなので人もまばら。
商店街をみんなで観光しつつ、眺めの良いレストランで昼食。
大志「瑛那ちゃん、隣りいい?」
瑛那「あ、うん」
智早「瑛那」
智早「反対隣り、いい?」
瑛那「う、うん」
女メンバー1「じゃあわたしも智早くんの隣り行こー」
女メンバー2「え、じゃあ私は向かいに座ろ」
大志「歩いたら暑くなってきちゃった」
制服のジャケットを脱ぎ、シャツの腕まくりをする大志。
瑛那「え、すごい筋肉!」
大志「え?あ…そっか、瑛那ちゃん筋肉好きなんだっけ」
瑛那「好き!鍛えてるの?」
大志「俺、ラグビー部で。部活で自然についた感じ」
瑛那「へー!うちのお父さんもラグビーやってたよ」
筋肉やラグビーの話題で盛り上がる2人。
女メンバー1「智早くんは、第一印象は…何人?」
智早「あー…一応、瑛那、1人かな」
女メンバー1「そうなんだ。やっぱもともと知名度ある子は強いなー」
女メンバー1「でもまだ始まったばっかだし。候補に入れるように頑張るね」
智早「うん、ありがと」
営業スマイルを振りまく智早。
〇宿泊先に移動
リゾート風のグランピング施設を貸切。
あわせて使えるロッジにはキッチンスペース、お風呂も。
映える宿泊先に感動するメンバーたち。
女メンバー1「えー待って、やばいってこれ!」
女メンバー2「めっちゃいい!」
落ち着いたところで、全員のスマホの着信が鳴る。
女メンバー3「メッセだ」
スマホには、恋リア部スタッフからのメッセージが届いている。
女メンバー1「『恋愛ミッション:くじ引きで、担当にわかれて夜のBBQの準備』だってー!」
くじ引きで、瑛那は火起こし担当に。智早は食材準備の担当。
BBQスペースの一角、焚火台の前でぼんやり火起こしする瑛那。
すでにいい感じの男女もちらほらおり、それを遠目に眺める。
瑛那(なんか思ったより、智早くんと絡むことないんだな…)
瑛那(恋愛する気もないのにここにいるのが申し訳ない…)
瑛那(てかあたしなんでここにいるんだっけ…)
大志「焚火は大丈夫そうだね。あとは大きめの薪をつぎ足していけばいいと思う」
瑛那「あ、うん」
立ち上がる瑛那。
瑛那(…あのランタン、落っこちそう)
ライトアップ用のランタンが外れかかっているのが目に入り、手を伸ばして直そうとする。
大志「どうしたの?」
瑛那「あのランタン、外れかかってて…」
すると、大志が突然瑛那をひょいっと抱え上げる。
瑛那「え、わっ」
大志「届く?」
瑛那「あ…と、届く」
突然のことに戸惑いながらも、ランタンを直す瑛那。
そっと大志が瑛那を降ろす。
大志「瑛那ちゃん軽すぎ。今日はちゃんと食いな?」
瑛那「う、うん。ありがとね」
大志「てか俺が直せばよかったのか。脳筋でごめん」
瑛那「あはは、脳筋!大丈夫、ありがとね」
さらに悔しそうに、2人を遠目に見ている智早。
〇BBQ
準備が整い、そのままBBQで早めの夕食。(立食)
ある程度食事が進んだところで、スマホが鳴る。
女メンバー2「『恋愛ミッション:夜のデート権を賭けたバトル』!!」
男メンバー1「きたー!」
女メンバー2「えーと…『足つぼマット競争で、男女それぞれ1位になったメンバーが、スペシャルな夜のデートの権利を獲得。デートの相手を指名できます』」
足つぼマット競争。
瑛那「痛い!もう進めない!!」
激弱の瑛那は惨敗。
智早「むり…!痛い、くそォおお…!!」
痛みに耐えながら進む智早。
ゴール時には涙目。
女メンバーたち(くっそメロい…!)
智早の涙目に感動する女子メンバー。
男子1位の大志が瑛那を、女子1位のメンバーが智早を指名する。
〇スペシャルな夜のデート
有名なイルミネーションスポット。
女メンバー1「え、やばいやばいやばい!超キレー!」
瑛那「すごーい…!」
2組にわかれて、園内を散策することに。
瑛那(別行動なんだ。当たり前か)
別れ際、ふいに智早と目が合うが、女子メンバーに腕を引かれて智早は行ってしまう。
瑛那「すごいなー、どこ撮っても映える」
大志「ほんとにね。あ、ここで写真撮ろ」
2ショット写真を撮る2人。
瑛那「わ、光のトンネルだって!」
大志「段差、気を付けて」
大志に手を引かれる瑛那。
大志「…ここ通る間だけ、繋いでていい?」
瑛那「う、うん」
手を繋いで、トンネルの中を歩く。
美しい光に目を奪われながらも、瑛那はぼんやり考えごとをする。
瑛那(智早くんもこうやって手つないだりしてるのかな)
瑛那「なんか…ヤダな」
大志「え?なにか言った?」
瑛那「あ!う、ううん」
トンネルを抜け、ベンチで休憩することに。
大志「やっぱ夜は冷えるね」
瑛那「ほんと。ちょっと寒いね」
さりげなく自分の上着を瑛那の肩にかける大志。
大志「使って」
瑛那「あ…ありがと」
笑顔を見せながらも、瑛那はやはり心ここに在らず。
瑛那(こういうのはやっぱ、好きな人にしてもらいたい…かも)
瑛那(…てか)
瑛那(智早くんにされるのは、いやじゃなかった気が…)
瑛那(それって、智早くんを好きってこと?)
瑛那(それもなんか、違うような…)
大志「瑛那ちゃん、大丈夫?」
瑛那「は!うん、大丈夫」
大志「あのさ、いっこ聞いてもいい?」
瑛那「うん」
大志「瑛那ちゃんと智早くんって、同級生なんだよね?もともと仲いいの?」
瑛那「あー…中学から、家近くて、高校も一緒で…まぁ仲いいほうだと思う」
大志「あぁ、なるほど。納得」
瑛那「??」
大志「智早くん、瑛那ちゃん狙いっぽいからさ。どういう関係なのかなって思って」
瑛那「!!」
大志「もともとの知り合いなら、あの態度も理解できる」
瑛那「あの態度…?」
大志「俺と瑛那ちゃんが話すたびに、猛禽類みたいな目でこっち見てくるから」
猛禽類な智早を頭に浮かべる瑛那。
瑛那「なんかごめん…」
大志「いやいや、わかってて俺も誘ってるし気にしないで」
大志「“GLOW UP GIRLS”のときの瑛那ちゃん、マジでかっこよかったもんな。デビューしてからはもっと、だけど」
瑛那「あ、改めて言われると照れる…」
大志「だからさ、もとから瑛那ちゃんのこと知ってたなら、内心すげぇ焦ってただろうなって。このままどこまで行くんだろうって」
智早の友人の、『たぶん百瀬が遠くにいっちゃうのが寂しくて…』というセリフを思い出し、なんとも言えない気持ちになる瑛那。
大志「瑛那ちゃんはまだ…気になる相手とか、いないの?」
瑛那「あ…えと、…うん」
大志「そっか。今日、俺とばっか話してたもんな」
大志「俺はほぼ気持ち固まってるっていうか。たぶん最後まで瑛那ちゃん貫くと思うから」
大志「明日は智早くんとも話して、瑛那ちゃんなりに答え出してくれるとうれしいな」
瑛那「大志くん…筋肉だけじゃなく心もイケメン…!」
大志「はは!あ、でも俺も身を引くわけじゃないから、明日もガンガン誘うので」
瑛那「うん、ありがとう!」
大志と話しながらも、やっぱり考えるのは智早のこと。
瑛那モノ『正直まだ気持ちがついていかない』
『でもちゃんと向き合わないと、いつまでも逃げ続けることになっちゃう』
ようやく向き合おうと決めた瑛那。
