【マンガシナリオ】智早くんはガマンの限界。~王子系男子は執着してもメロい~

〇オーディション審査会場
 プロデューサーから発表される四次審査の結果を、固唾をのんで見守る候補者たち。
プロデューサー「“GLOW UP GIRLS”四次審査、最後の通過者は…」
プロデューサー「ENA!」
 涙を浮かべ喜ぶ瑛那(えな)


〇瑛那自宅、洗面所
 …という配信動画をスマホで見ながら、ニヤニヤ歯磨きする瑛那。
瑛那パパ「瑛那ー、もう8時だよー」
瑛那「やばっ」
 ニュージーランド人の瑛那パパが心配して様子を見に来る。
 慌てて準備する瑛那。

瑛那モノ『百瀬(ももせ)瑛那(えな) ごくフツーのJK1(高校1年)
『…だったけど』
『いまは、オーディションのことで頭がいっぱい!』

瑛那モノ『オーディション番組“GLOW UP GIRLS”――』
『ボーカル&ダンスガールズグループ結成のためのオーディション』
『1年前に応募して、何度もオーディションを重ねて、四次審査もどうにか突破』
『残るは週末の最終審査のみ!』


〇マンションエレベーター、登校風景
 家を出て、エレベーターのボタンを押す。
 エレベーターには同級生・高月(たかつき)智早(ちはや)が乗っている。
瑛那「あ、智早くんおはよー」
智早「おはよう、百瀬」
 キラキラ効果をまとうイケメンの智早。
瑛那(朝から眩しいぜ…)

智早「四次審査の配信見たよ」
瑛那「え、早い!ありがとー!」
瑛那「自分でも引くほど泣いててびっくりした」
智早「いや泣くでしょあれは。俺もつられて泣きそうになったもん」
 登校しながらの2人の会話。
瑛那モノ『同じマンションの高月智早。中学からの同級生』
『見ての通りのハイスぺ男子』
 会話に重ね、下記、智早の肩書きを紹介しつつのモノローグ。
 ・試験は常に学年3位以内
 ・帰宅部だけどスポーツ万能
 ・告白された回数は2桁以上

智早「あ。これ、先週分のノート。返すのいつでもいいよ」
瑛那「わー、いつもありがとう…!」
瑛那「ありがとうすぎて、毎回ホントに申し訳ない…」
智早「オーディションの間だけでも、頼ってよ。これくらいしかできることないし」
瑛那「ホントありがとね。でも、無理しないでね」
智早「百瀬が頑張ってるから、応援したいだけ。推し活、みたいな?」
 ふいの智早の笑顔にきゅんとする瑛那。

瑛那モノ『智早くんはやさしい。そして、甘い。ていうか、もはやメロい』
瑛那(王子顔でメロいとか反則すぎ…)

智早「それに、あの時の恩返しもある。俺が転校してきた頃に助けてくれた、あれ」
 軽い回想。
瑛那モノ『中学2年の頃』
『雨の日に鍵を忘れてマンションの入口で立ち尽くしていた高月きょうだい』
『とりあえずうちに連れ帰って、いろいろお世話したんだよね』
 瑛那が智早と弟妹の3人を家に招き入れ、タオルを貸す描写。モノローグを重ねる。

智早「あの時は百瀬が天使に見えたもん」
瑛那「天使ってキャラじゃないけど」
智早「じゃあ女神かな」
瑛那「それもキャラじゃないw」
 軽口の会話に、智早は思わず笑顔を浮かべる。

智早「オーディション受けるって聞いた時は、びっくりしたけど…マジでデビューが見えてきたな」
瑛那 「最後、選ばれたらいいんだけどね。頑張ったし、ダメでも後悔はないけど!」
 前向きな瑛那の言葉。
 智早は瑛那の頭をポンポンする。
智早「大丈夫。百瀬の輝きは、ちゃんと見てる人に届いてるよ」
瑛那「あ…ありがと」

瑛那モノ『智早くんはこうやって、あたしが欲しい言葉をくれる』
『だからついあたしも、甘えちゃうんだ』

 智早、寂し気な表情で。
智早「百瀬がデビューしたら、こんな風に話すこともなくなるのかな」
瑛那「そんな寂しいこと言わないでよー」
 瑛那の言葉に、智早は表情をすこし曇らせる。
智早「――ほんとに寂しいって思う?」
瑛那「え?」
智早「…なんでもない」
 智早の態度に対し、ふしぎそうな瑛那。

 登校中、女子生徒につかまる。
女子1「あ、智早くん!おはよー」
智早「おはよ」
女子2「今日の課題やった?あとで教えてほしくって…」
 明らかに智早狙いの女子生徒たちに気を遣って、瑛那は距離をとる。
瑛那「あたし、先行くねー」
 瑛那の背中を寂し気に見送る智早。


〇レッスン場・休憩ルーム
 『GLOW UP GIRLS』のレッスン場。
 休憩がてら夕食をとる、候補者たち。瑛那はその輪の中で、ハンバーガー片手に勉強中。
候補者1「瑛那それ、学校の課題?」
候補者2「え、てかノートすご!瑛那ってもしかして頭いい?」
瑛那「全然。いつもノート貸してくれる男子がいるの」
候補者1「男子?! なにそれ、ラブ系のやつ?!」
瑛那「ちがうちがう。面倒見てくれてるだけ」
候補者2「え~、いつもでしょ?なら下ゴコロありそうじゃない?」
瑛那「ないってー」
瑛那(あんなハイスペ男子が、あたしなんか相手にするわけない)
(系統も違うし、妹くらいにしか思ってなさそう)
瑛那「それに今は、歌とダンスが恋人だもーん」
候補者1「まぁ、それはそう」
候補者2「それな」


〇レッスン後、帰路
 電車に乗る瑛那。スマホに智早からのメッセ。返信する瑛那。
智早メッセ『電車乗ったら教えて』
瑛那メッセ『いま乗ったよ~』
 最寄り駅で下車。改札を出ると、智早が待っている。
智早「おつかれ」
瑛那「おつー!迎えとかほんといいのに」
智早「こんな時間に女子1人はヤバイって。最近このへん不審者多いらしいよ」
瑛那「マジ?!」
智早「てかコートは?なんか薄着じゃない?」
瑛那「あー、昼暑かったから着てこなくて…」
智早「風邪ひくって」
 さりげなく自分の上着を瑛那の肩にかける智早。

瑛那(推し活だって言ってたけど…)
瑛那(なんでここまでしてくれるんだろ)
 『下ゴコロありそうじゃない?』という、候補者の言葉を思い出す。
 智早をちらちら見遣る瑛那。
瑛那(下心…とか、そういうキャラじゃないよな…)
 視線に気付く智早。
智早「どうかした?」
瑛那「あ、えと…智早くんは、彼女つくんないの?」
智早「(キョトンとしつつ)なんで?」
瑛那「(慌てて)なんでって…も、モテるのにあたしにばっか構ってるの、もったいないなーって!」
 すこし思案する智早。
智早「百瀬は彼氏つくんないの?」
瑛那「え?!あたしは…オーディションで手いっぱいだから…」
 ふっと笑う智早。
智早「俺もいまは百瀬の推し活で忙しーから」
瑛那「へ?!あ、ごまかした!」
智早「バレた?」

智早「いよいよ週末だな。緊張してる?」
瑛那「今はあんまりかな。結果聞くのは怖いけど」
智早「そっか」
智早「最終審査のライブ、3組のメンツと観に行くわ」
瑛那「ありがとー!見つけたらファンサしちゃお」
智早「うちわ作って持ってくか」
 上記、会話にかぶせてモノローグ。
瑛那モノ『じっさい、智早くんに彼女ができたら』
『こういう時間もなくなるんだろうな』
『それは、すこし、結構、サミシイかもしんない』

 マンションに到着。エレベーターを降りる瑛那。
瑛那「お迎え、ホントありがとねー」
智早「おう」
 降りる瑛那の背中。智早はドアを押さえて、瑛那の二の腕を引く。
智早「百瀬」
智早「もしデビューが決まったら…」
瑛那「ん?」
智早「…ううん、なんでもない。おやすみ」
瑛那「おやすみ!」
 智早、瑛那の背中を見送る。


〇レッスン風景→ファイナルライブ
瑛那モノ『最後の審査に向け、毎日レッスンの日々』
『冬休みに入り――』
『とうとう迎えた、最終審査ライブ』

 ステージで歌い、踊る瑛那。
 観客席には、瑛那の応援に来た智早と友人数名。
男友人1「お、百瀬こっち来た!」
女友人1「きゃー、瑛那ー!!」
 瑛那が花道の上から、智早たちに手を振る。
 切なそうに瑛那を見上げる智早。

瑛那モノ『そして――』
プロデューサー「“GLOW UP GIRLS”最終審査。6人目のメンバーは…」
プロデューサー「ENA!」
 観客の歓声。涙を流す瑛那。
瑛那「ダンスがあったから、支えてくれる皆さんがいたから、今のあたしがあります。これからたっくさん、みんなに恩返し、させてください!」
 深くお辞儀をする瑛那。
プロデューサー「これからこの6人は、ガールズグループ“LUMICA(ルミカ)”として活動を始めます!」
プロデューサー「みなさん、応援よろしくお願いします!」
 観客席で、なぜか切なげに唇を噛む智早。

瑛那モノ『こうして、無事にデビューが決まった』
瑛那モノ『まさかこれが波乱の幕開けになるとは知る由もなかった』