放課後、粉雪みたいな愛に包まれて。


「お先に失礼しましたー」

「おー六花ちゃん。お風呂あがり可愛い―」

勝手に私の本を読んでいた山吹陽斗こと、金髪派手系男がお風呂上がりの私をにやにやと見てくる。

「そんな見るなよ、六花ちゃんが怖がってるから」

私のコスメが入っている透明の引き出しをガサゴソといじりながら白瀬悠斗こと、白メッシュが苦笑する。

「可愛かろうが何だろうが、人の本を勝手に読んじゃいけないんですぅー」

金髪が読んでいた本を取り上げて本棚に戻すと、「え、六花ちゃん意地悪!」と金髪が泣きそうな声でこちらを見ていた。

「かわいいだけじゃだめですか?」

金髪が目をきゅるきゅるさせてこちらを見ている。

いいよー、と言いかけたけど、「こらっ」と私は金髪の頭をたたいた。

「えーんえーん、暴行罪だー」

大げさな泣きまねをしている金髪に赤メッシュが「今のはお前が悪い」と冷静なお叱りを入れる。

その赤メッシュも、私が塾で使っているワークを勝手に開いて中身を見ている。人のことは言えない。

あなたも似たり寄ったりですよ、と心の中で突っ込むと「翔真だって読んでるじゃん。なんで俺だけダメなのーやだやだやだー」と金髪が部屋でじたばたし始めた。

「スーパーでお菓子買ってもらえなくて売り場で暴れる子供じゃん」

白メッシュが私が思ったことを代弁してくれた。

「だってー、やーだやーだやーだ」

白メッシュの『暴れる子供』発言もむなしく、金髪のじたばたが悪化する。