「はーもう、くそがくそがくそが…」

女子力のかけらもない暴言を吐きながら壁に寄りかかっていると、階下から鍵が回る音が聞こえてきた。

まずい、と思う間もなく、唯日がどたばたと階段を上ってくる。

「おいおばさん。お前受験生なのに勉強しなくっていいのかよ」

「うっさいなー。わかってるしー」

唯日としょうもない水掛け論をしていると、部屋から赤メッシュが出てきた。

「お、六花の弟?かわい。」

その赤メッシュは唯日に近づくなり、頭をわしゃわしゃと撫でた。

「やめろ!あ、てかこれおばさんの彼女?受験生やのにやばー」

そう言って唯日が私の部屋の扉を勝手に開けた。普段なら「勝手に開けんなクソガキ」と怒っているところだが、怒る気力すらない。

「え、待っておばさん、まさかイケメン3名お持ち帰り?やるぅー」

ひゅー、と口笛を吹いて唯日が冷やかしてくるが、全くの無実である。

「やってません。こいつらがなんか不法侵入してきたんでーす」

「あっそ、どーでもよー」

唯日は「風呂入るわー」とその場から立ち去った。

自分から聞いてきたのに失礼なことこの上ない反応だ。まあ、やいやい追及されないだけましだろう。