宴はたったの15分で終了した。その後、案の定私は椿姉さんに呼び出された。
姉さんは仁王立ちをして上から目線でこう言った。
「あんた、今日自分が何したかわかってる⁉︎客を奪ったのよ!ほんと信じられない!」と怒鳴られる。
「ごめんなさい」謝っても許されないことだってわかってる。でも謝らないとめんどくさいことになるからなぁ。
そう考えた数秒後、頬に鋭い痛みがはしった。私はとばされ壁に激突した。そして頬に手をやると血が出ていた。
ひどいことするなぁ。椿姉さんがもう一発殴ろうとして目をつぶった瞬間、「おーい。雪椿やい。こっちにきてくれんか?」
(常連客だ!)椿姉さんは殴ろうとした拳を止めこう言った。「あぁ?今説教して_」と椿姉さんが目を逸らし、今だ!と思った私は体をかがめ全力で逃げた。
「ちょっと!待ちな!」椿姉さんに何を言われても私の足は止まらなかった。
追いつかれることが怖かったから私は靴も履かずに店を飛び出した。そのまま走り続け暗い路地に入り込んだ。
「はぁーここまで逃げたら大丈夫かな」私は信じられないくらい汗をかいていたし息も落ち着いて呼吸ができないほど息が荒かった。
押しつぶされそうな恐怖と焦りのせいだろうか止まりに止まらなかった
。そのうち手も震え始めたし体温が下がっていくのがわかった。
もう倒れてしまいそうになった瞬間、上から低い声が聞こえた。