ようやく浜辺に行ったかと思えば、なんで海で叫ぶ人がいるんだろ?と問いかけてきたり、星の砂探しに付き合わされたりしたな。
帰りにまたアイス買って、ひと口ずつ交換したな。
次どんな曲がいいか、ニコニコしながら選んでたっけ…。
紫遊「………………ん?」
これは……
紫遊「………まさかな…」
危険だ。
このモヤモヤしたモノを吐き出せば、確実にこのかたちが崩れる。俺の中の警報がけたたましく鳴る。
危険だ。耳を塞げ。考えるな。目を背けろ。
なんだ…何が起きてる…?
いや…気づいているはずだ。でも気づいたら、きっとそれは終わりの始まりになる。
澪を泣かせたくない。
泣かせるぐらいなら、警報に従おう。
恐ろしい程の欲を負かしてやろう。
じっとしててくれ。
俺の中で、化石になってくれ。
あの頃は…と笑い話にするために。
そうこうしている内に教室に着いた。
深呼吸しよう。この気持ちに蓋をして、二度と開けないように奥深くへしまいこもう。
紫遊「……はぁ。行くか」
ドアを開けると、環と澪が弁当を広げていた。
いつもの光景だと思った。
『もしこの2人が付き合ったらお前はどう思うだろうな?』
紫遊「……!!!!」
考えるな…。考えるな…。
澪が選んだなら…それでいいじゃないか。
澪が幸せなら、それで…。
『本当にいいのか?』
悪魔を握り潰して、俺も昼飯を食おう。
今はこのままでいい。頼むから…
俺の未来を奪わないでくれ。
