女生徒「みたよー!カッコイイじゃん!人気者だね!」
男生徒「お前らこれで有名人じゃね?今のうちにサインもらっとこー♪」
女生徒「写真も撮ってもらおうかな♪ねえねえ、写真撮ってー!」

その日から2人の周りは騒がしかった。
全校生徒と写真を撮ったのではないかと思うぐらいの写真大会、大量に求められるサイン(もちろんそんなものは無いので直筆の氏名記入)、どっち派かの話に巻き込まれる等、澪が2人と話す機会がなくなるほどだった。
それでも2人は中学からの仲である澪と話す時間に、素の自分を見せるように甘えたりワガママを言ったりしている。

環「やだ。行かない」
澪「……ねぇ、相手の子可哀想だよ…」
環「やだ!昼休みぐらい好きにしたい!」
紫遊「今日はお前が昼休みに呼び出されたのか…。多方、告白だろ?サッと行って、フッてこい」
澪「フるの前提なの!?めちゃくちゃ可愛い子かもよ!?環のタイプかもよ?…環のタイプ知らないけど」
環「最近3人で飯食えてねぇじゃん…。オレだって遊ぶ時間ほしい。バカやってさー…焼きそばパンジャンケンしたりとかさー…」
紫遊「初めて聞いた遊びだな。ちなみに俺は焼きそばパンは好きじゃない。食うなら澪と食え」
澪「私焼きそばパンより、コロッケパンの方がいいなぁ…。あのしなしなコロッケが好き!」
環「あーーーこういうの!!!!オレが求めてたのはこういうのなの!!日常!!戻ってきたー!!」

かと思えば別日には、紫遊が澪の肩に頭をゴツンとぶつけてきたり。

紫遊「…………………………………………」
澪「うわぁっっ!!え…紫遊?どうしたの……?」
紫遊「ちょっと……肩貸して。嫌なことあった。もうやだ」
環「めっっずらしー。澪の肩に撃沈するほどのことあったん?話聞くぞー?」
紫遊「俺の私物がどんどん無くなっていく…」
環「……お前、ガチ恋されてる?」
紫遊「知るか聞くな失せろ」
環「そこまで!?」

彼らの日常が、少しずつ、少しずつ、変わり始めていった。あの日環が紫遊に話した「アイドルになろう」といった言葉は、小さな星々となって確実に手のひらに降り始めていた。