俺様御曹司はパイロットになって愛しい彼女を迎えに来る

隼人が言う保護者云々はまんざら嘘でもない。空には高校の時から保護者はいないも同然だった。

空を育ててくれたのは父方の祖父母で、初孫の空に会いたくて当時両親の住んでいた都内のアパートに行ったところ、中で赤ちゃんの泣き声は聞こえるのにドアにはかぎが掛かっており、ドアをどんどんたたいても誰も返事がなかった為、管理人にかぎを開けてもらったところ、空は部屋に一人寝かされていた。

9月と言え締め切った部屋は暑くて、その上力の限り泣いていた空は汗びっしょりになっていたそうだ。

お腹も減っていたのだろう抱き上げると祖母の胸に顔をつけておっぱいを欲しそうにしていたと言う。

祖父母はとりあえず同じアパ-トに住んでいて乳幼児のいる母親に母乳を飲ませてもらってから、祖父母の郊外の家に連れて帰ってくれたそうだ。

その日から母親は帰ってこなくて、祖父母がその日空に会いに来ていなければ空は間違いなく死んでいただろう。

仕事から帰ってきた父親は祖父から連絡を受けて、次の日祖父の家に来たが仕事をしながら赤ん坊は育てられないと言って祖父母に育ててくれるように頼んで帰っていったらしい。

その半月後位に母親から離婚届が送られてきて、父親は即離婚届を役所に届けた。

祖父母はその当時で七十歳だったのに、空を二人で可愛がり立派に育ててくれた。

両親のいない空が不憫で、周りの子供達とも仲良くやっていけるように、心を砕いてくれた。

優しい祖母は空の友達のお母さんともママ友になって、皆に慕われていた。

授業参観も必ず二人で来てくれた。運動会の時も料理が上手な祖母が立派なお弁当を作って来てくれた。

空は両親が居ない事を寂しく思ったりした事がなかった。空には祖父母がいてくれればそれで十分に満ち足りていたのだ。

空がやりたいことは何でもやらせてくれたし、いつも空の気持ちを優先させて決して怒ったり無理に何かをさせることはなかった。

本当にのびのびと大切に育ててくれたのだ。

だから、空は親が居なくても卑屈になる事はなく明るく元気なしっかり者に育っていった。

でも、空が高校2年生の時、二人は相次いで病気で亡くなった。