珠子:「このケーキ、うちの息子が作ったのよ。お口に合うかしら?」
日和:うわっ、かわいい!! 食べるのもったいないくらい
手を合わせひとくち口にした
日和:「んーーおいしいです!!!」
珠子:「よかった、たくさん食べてね」
日和:「あ、ありがとうございます」
珠子:「日和ちゃんはこの辺に住んでるの?」
日和:「はい、わりと近いです」
珠子:「息子もね、この近くでカフェやってるんだけど、アレーズって知らない?」
日和:もしかしてあの角のおしゃれな?
日和:「し、知ってます! でも入ったことなくて…」
珠子:「そう? 息子はその店に掛かり切りで…いい歳なんだからお店もいいけど、早くいい人と落ち着いてくれたらなんて…あらやだ、私ったらお客様に愚痴なんて、ごめんなさいね」
日和:「いえいえ…」
ふと、テーブルに置かれたヒモがちぎれたキーホルダーが目に入る
日和:「あ、あのそれ、ストラップならうちに予備があるので直せますけど」
珠子:「ストラップ?」
日和:「あ、こういうのです」
そう言ってスマホに付いてるガラスの靴のストラップを見せた
珠子:「まあステキ! かわいらしいガラスの靴」
日和:「はい、私も大切な人にもらったものなんです」
珠子:「大切な人? その話詳しく聞きたいわ」
聞かれるがまま、日和は珠子に樹と出会った話をした
珠子:「それじゃあ、日和ちゃんの王子様は本当に会いに来てくれたのね! ステキだわ!!」
日和:…は、恥ずかしいな
日和:「た、珠子さんのキーホルダーの話も聞きたいです」
珠子:「私のはたいした話じゃないのよ、結婚30周年で行った旅行で買ってもらったものなの」
日和:「30周年!! すごくステキなご夫婦だったんですね」
珠子:「ありがとう、30年てすごく長い時間に思うでしょ。でもね、過ぎてしまえばあっという間なの。だから今その時その時を大切にね」
日和:「はい」
日和:…私、初対面の人とこんなにお話しできてる
珠子さんが話しやすくてステキな人だから…
そっか、今その時その時……うん、大切にしよう
