カランコロン
日和:「じゃ和泉くん、頑張って」
和泉:「おう、日和もな」
日和:「おはよう祐生くん、雪すごいね」
祐生:「ああ、滑らなかったか?」
日和:「うん、和泉くんが送ってくれたから」
祐生:「そうか…」
日和:「じゃあ急いで開店の準備するね」
祐生:「あ、今日はいい。それより桐谷…」
カタッ
日和:!!!
パサパサパサ……
驚きのあまり持っていたメニューを落としてしまう日和
ずっとずっと待ち続けていた樹がそこにいた
樹:「…日和」
祐生:「おい、約束が違うだろ! 桐谷に確認を取ってから会わせるって…」
日和:…まさか……え?! ほんとに? ほんとに?!
奥の席に向かい合って座る二人
日和:樹くん? 本当に樹くんだ
あんなに会いたかった樹くんが今、目の前にいる
信じられないという顔でじっと樹を見つめる日和
日和に会えた喜びをかみしめる樹
樹:「…元気…だった?」
日和:「うん…」
樹:「……ずっとずっと会いたかった…ごめん……ごめん」
日和:「…うん…うん」
短い言葉からも溢れんばかりの涙を浮かべて話す樹の想いが伝わり、日和の瞳からもスッと涙がこぼれた
日和の涙を拭おうとすーっと伸ばす樹の手を、そっと止める日和
日和:「だ、大丈夫」
樹:「…うん」
日和:「…樹くんも…元気そうでよかった」
そう笑ってみせる日和
樹:「日和、今幸せ?」
日和:「うん、幸せだよ」
樹:「そうか、よかった」
日和に向け微笑む樹、一瞬見せた寂しさを隠しながら
日和:「あの、あのね…私 今、和泉くんと付き合ってて…」
樹:「…うん、小林に聞いた」
日和:「え!?」
樹:「昨夜、日和の家の前で会ったんだ」
日和:それで昨日 和泉くん…
樹:「小林とは…いつから?」
日和:「…今年の夏から」
樹:え?! 最近じゃないか!!
あれから5年近く経っているのに…もしかしてそれまでずっと待っていてくれた?
樹:「日和、写真たて…もしかして僕の部屋にあった写真たてって日和が持ってた?」
日和:え?
樹:「あの時の僕の部屋の荷物、本当は処分されるはずだったのを、こっそり向田さんがアメリカに送ってくれて…その中に、日和へのメッセージを書いた写真たてが入ってなくて」
日和:そうだったんだ…処分されずに樹くんの元に…
樹:「日和?」
日和:「あーうん……持って…た」
樹:!! じゃ僕の気持ちは伝わってて…それでずっと……
樹:「日和、僕はあの頃から何一つ日和への気持ちは変わっていない。今でも日和が好きなんだ! アメリカに帰ってからずっと、日和を迎えに来ることだけを考えて頑張って来たんだ。今さらかもしれない、でももう一度日和とやり直したい」
日和:樹くん…
日和:「…ごめ…」
樹:「すぐに答えを出さないで! お願いだから……少しでいい…僕との未来を考えてみてほしい」
震える声で必死に頭を下げる樹
痛いほど樹の気持ちが伝わる日和は、思いを言葉にできない
