樹:「僕は…何のために今まで……」
拳を握りしめ段々と悲愴な面持ちになっていく樹
祐生:「なあ、あの時 何があった? どうして今まで桐谷に連絡ひとつ寄こさなかったんだ! あの後 桐谷がどんな思いして…どんだけ泣いたかわかってんのかよっ」
樹:「……っ」
祐生:「好きなやつ泣かせたらダメなんじゃなかったのかよ」
祐生は気持ちが抑えられず、樹に詰め寄った
樹:「…っ、あの時…父親が倒れたと有無を言わせずアメリカに連れて帰られ…日和と接触するなら日和やその家族になんらかの危害を加えると脅され…どうしようもなかったんだ」
祐生:「そんなバカな話…」
樹:「それをやるかもしれなかったんだ、あの人なら…僕の祖父はそうやってあらゆる手段で会社を大きくしてきた人だから」
祐生:「だからって…」
樹:「あの時はそうするしかないと思ってた。祖父が納得するよう僕が力をつけるしか…だけど、あの時 何があっても日和と離れるべきじゃなかったんだ! やっと、やっとこうして日和に会いに来れるようになったというのに…」
肩を震わせ昔のオーラなど微塵も感じられない樹を見て
祐生:こんなに弱っているこの人を見たのは初めてだ
それだけ桐谷の存在が大きかったってことか
樹:「……祐生…お願いだ…日和に、日和に会わせてくれ」
祐生:「なっ…」
樹:「やっぱり無理だ、このまま日和に会わずにアメリカに帰ることなんてできない! 頼むよ…祐生」
か細い声で必死にすがりつく樹
祐生:ちょっと待て、オレがこの人と桐谷を引き合わせる?!
やっと前に進んで幸せそうなのに…また泣いちまうんじゃ…
だけどここでオレが断れば、二度と桐谷はこの人に会うことはない
ずっとずっと待ってた人だ…どうするか決めるのはオレじゃない
祐生:「…わかった、そのかわり……」
祐生:小林に殴られる覚悟をしておこう
樹:「ありがとう、ありがとう祐生」
かすかな希望でも、心が躍る樹だった
翌日
日和:「わあ雪積もってるよ、和泉くん」
和泉:「寒くないか? 滑るなよ」
玄関を出て手を繋ぎ一緒に歩く二人
和泉:「今日、バイト何時までだ?」
日和:「4時までだよ、その後こころちゃん来るから」
和泉:「じゃあ、終わったらそのまま待ってて。オレも練習4時までだから、終わったら迎え行く」
日和:「別に大丈夫だよ、その頃には雪も解けてるだろうし」
和泉:「いいから! 絶対待ってろよ」
日和:昨夜、うちに戻って来てから和泉くんの様子が少しおかしい…
聞いてもごまかしてばかりで、なんかあったのかな…
