ー 女の子なら誰でもいつか王子様やヒーローが現れるんじゃないかと一度は思ったことがあると思う



 
私は緊張するとなかなか言葉が出てこない


小学生の頃、このことでよくからかわれていた

桐谷 日和(きりたに ひより):「あっ……え……」

男子:「おまえ何モゴモゴ言ってんだよ」

男子:「聞っこえませーん」

日和:あっ、また、違うって言いたいのに……うっ…

涙ぐむ日和

早川 樹(はやかわ いつき):「ちょっと、何やってんの?」

男子:「げっ、上級生だぞ」

樹:「キミたち知らないの? 女の子は笑った顔の方がかわいいんだよ、だから泣かせたらダメだよ。特に好きな子はね!」

そう言って樹は一人の男の子をじっと見た

東屋 祐生(ひがしや ゆうせい):「おい、もう行こうぜ」

いじめっこたちは逃げて行った

日和:助けてくれた?! 外人?! 髪の毛…きれいな色だな……
あっ、お礼!

日和:「あ……あ……」

樹:「ありがとうって言いたいんでしょ? 大丈夫、伝わってるよ」


ー それが私と樹くんとの出会い。それから3年、ずっとそばにいて守ってくれた私の王子様
ずっと一緒にいられると思ってたのに……
私が4年生、樹くんが6年生の冬、突然別れがやってきた


樹:「急にアメリカに引っ越すことになった。ずっと日和のそばにいたかった……」

日和:私もだよ…

樹:「でもいつか必ず会いに来るから、僕のこと忘れないで」

ー そう言って手渡されたのは、ガラスの靴のキーホルダー
それからずっとガラスの靴は私の宝物。今ではストラップにして大事にスマホに付けている




高校1年 初夏