「痛すぎていらつく。」
頭痛だ。低気圧による偏頭痛。痛みで顔が歪む。これは耐えれないやつだと悟り、しぶしぶ鞄の中にある薬ケースに手を伸ばし痛み止めを飲む。
あぁ、今日は本当になんて日だ。
目の前を大粒の雨が降り注いでいる。今日は晴れのち曇りって天気予報で言ってたはずなのに。スマホを取り出し、これからの天気を調べる。最悪だ。あと3時間は降るらしい。洗濯日和って言ってたから、来たのに。ため息を今日もまた1つこぼす。
今私は、公園のいつものベンチにいる。
天気予報を信じていたので、傘はもちろんない。3時間ここで待つしかないと、途方のない思いで目の前の雨を見つめていた。
いや、待て。
そうだ、私はZ世代の現代人。現代人はスマホさえあれば何時間でも時間は潰せる。勝ち誇った顔でスマホをさわる。アプリを開こうとした瞬間、
「嘘でしょ、。」
画面に映し出された文字に絶望した。スマホは残り10%らしい。低燃費モードにするかしないかが映し出されている。
ちっくしょー。
イライラしながらいつもよりも強めに「する」を押した。少し画面が暗くなったことで、低燃費モードになったことを確認する。
モバイルバッテリーは案の定家に置いてきてしまっていたから、充電を増やす手段は今ない。
今日の鞄はすこぶる軽かった。鞄の中は、スマホと財布に薬の入ったポーチと水筒だけ。昨日、久しぶりに鞄の中を整理して必要最低限にしたことを思い出す。今日に限って鞄の中身はスッキリしていた。
スマホ以外に時間を潰せるものなんて何もない。またため息が出る。はあ、本当に今日はなんて日だ。
空はどんより分厚い雲で覆われていた。
「きみ傘ないの?」
急に後ろから声が飛んできた。
急いで振り返る。
声の持ち主は顔の整った男の子だった。
目はぱっちり大きく、顔はシュッと小さい、鼻はすらりと存在感がなく、口は柔らかに口角が上がっていた。
軽くパーマがかかってそうな髪の毛に、少し色素が薄いのか目も髪の毛も明るい茶色だった。
見た目はいわゆるモテそうってやつだった。
そんな彼は私を見てた。
傘があるかないか私に聞いてたらしい。
「ない、です。」
ついしどろもどろになりながら答える。
男の子どころか人に話しかけられたのが久しぶりすぎて以前の私だったらどんな風に答えられてたかなんて想像も出来ない。
「じゃあこれ、使って。」
彼は柔らかく微笑みながら、彼の使ってた傘を私に差し出してくる。
「あなたが雨に濡れちゃいますよ。」
「僕ねこんな事もあろうかと、ちゃんと折りたたみ傘も持ってるよ。」
だから使って、と差し出してくれた。
そんな彼の親切を断ることも出来ずに、今手元には彼のと思われる傘がある。
「僕は今友達と待ち合わせしてるんだ。だからもうちょっとここにいるから君は帰りな。」
傘を見る。本当に借りてしまっていいのだろうか。
「良いんだよ。」
彼は優しく笑いながら言う。
びっくりして彼の顔をみる。
私の考えてる事が分かるのか。
「じゃあお言葉に甘えて、お借りします。」
私が立ち上がった時、気をつけてね、と言って手を振ってくれた。
私はありがとうございます、と言って家に歩を進めた。
家に着いてから気づく。この傘どうしよう。あ!今ならまだ公園で友達を待ってるかも知れない。
急いで自分の傘をさして、彼の傘を持って家を出た。
公園の近くまで来た。彼の姿が目に入る。彼はまだ友達を待っていた。よし返そう、と思って、彼に近づこうとした時、
「おいみなと!急になんだよ。」
その声にびっくりして立ち止まる。
傘をさした男の子がぶっきらぼうに声をあげる。
私に傘を貸してくれた人は満面の笑みでその声の持ち主の方へ振り返る。
「たくまーん、傘忘れちゃったから入れてー。」
「それは別にいいけど、。って、は?もしかしてそんだけの事で呼び出したんか。」
「え、うん。そーだけど。」
「俺をタクシーとでも思ってんのか。」
「え、うん。今更そんな事聞く?」
「よーし、一発殴らせろ。早くこっちに来い。」
「やだやだ。殴んないでー。」
そう言って2人はわちゃわちゃしながら、1つの傘でどこかに行った。
頭痛だ。低気圧による偏頭痛。痛みで顔が歪む。これは耐えれないやつだと悟り、しぶしぶ鞄の中にある薬ケースに手を伸ばし痛み止めを飲む。
あぁ、今日は本当になんて日だ。
目の前を大粒の雨が降り注いでいる。今日は晴れのち曇りって天気予報で言ってたはずなのに。スマホを取り出し、これからの天気を調べる。最悪だ。あと3時間は降るらしい。洗濯日和って言ってたから、来たのに。ため息を今日もまた1つこぼす。
今私は、公園のいつものベンチにいる。
天気予報を信じていたので、傘はもちろんない。3時間ここで待つしかないと、途方のない思いで目の前の雨を見つめていた。
いや、待て。
そうだ、私はZ世代の現代人。現代人はスマホさえあれば何時間でも時間は潰せる。勝ち誇った顔でスマホをさわる。アプリを開こうとした瞬間、
「嘘でしょ、。」
画面に映し出された文字に絶望した。スマホは残り10%らしい。低燃費モードにするかしないかが映し出されている。
ちっくしょー。
イライラしながらいつもよりも強めに「する」を押した。少し画面が暗くなったことで、低燃費モードになったことを確認する。
モバイルバッテリーは案の定家に置いてきてしまっていたから、充電を増やす手段は今ない。
今日の鞄はすこぶる軽かった。鞄の中は、スマホと財布に薬の入ったポーチと水筒だけ。昨日、久しぶりに鞄の中を整理して必要最低限にしたことを思い出す。今日に限って鞄の中身はスッキリしていた。
スマホ以外に時間を潰せるものなんて何もない。またため息が出る。はあ、本当に今日はなんて日だ。
空はどんより分厚い雲で覆われていた。
「きみ傘ないの?」
急に後ろから声が飛んできた。
急いで振り返る。
声の持ち主は顔の整った男の子だった。
目はぱっちり大きく、顔はシュッと小さい、鼻はすらりと存在感がなく、口は柔らかに口角が上がっていた。
軽くパーマがかかってそうな髪の毛に、少し色素が薄いのか目も髪の毛も明るい茶色だった。
見た目はいわゆるモテそうってやつだった。
そんな彼は私を見てた。
傘があるかないか私に聞いてたらしい。
「ない、です。」
ついしどろもどろになりながら答える。
男の子どころか人に話しかけられたのが久しぶりすぎて以前の私だったらどんな風に答えられてたかなんて想像も出来ない。
「じゃあこれ、使って。」
彼は柔らかく微笑みながら、彼の使ってた傘を私に差し出してくる。
「あなたが雨に濡れちゃいますよ。」
「僕ねこんな事もあろうかと、ちゃんと折りたたみ傘も持ってるよ。」
だから使って、と差し出してくれた。
そんな彼の親切を断ることも出来ずに、今手元には彼のと思われる傘がある。
「僕は今友達と待ち合わせしてるんだ。だからもうちょっとここにいるから君は帰りな。」
傘を見る。本当に借りてしまっていいのだろうか。
「良いんだよ。」
彼は優しく笑いながら言う。
びっくりして彼の顔をみる。
私の考えてる事が分かるのか。
「じゃあお言葉に甘えて、お借りします。」
私が立ち上がった時、気をつけてね、と言って手を振ってくれた。
私はありがとうございます、と言って家に歩を進めた。
家に着いてから気づく。この傘どうしよう。あ!今ならまだ公園で友達を待ってるかも知れない。
急いで自分の傘をさして、彼の傘を持って家を出た。
公園の近くまで来た。彼の姿が目に入る。彼はまだ友達を待っていた。よし返そう、と思って、彼に近づこうとした時、
「おいみなと!急になんだよ。」
その声にびっくりして立ち止まる。
傘をさした男の子がぶっきらぼうに声をあげる。
私に傘を貸してくれた人は満面の笑みでその声の持ち主の方へ振り返る。
「たくまーん、傘忘れちゃったから入れてー。」
「それは別にいいけど、。って、は?もしかしてそんだけの事で呼び出したんか。」
「え、うん。そーだけど。」
「俺をタクシーとでも思ってんのか。」
「え、うん。今更そんな事聞く?」
「よーし、一発殴らせろ。早くこっちに来い。」
「やだやだ。殴んないでー。」
そう言って2人はわちゃわちゃしながら、1つの傘でどこかに行った。


