冴斗の父方の家は代々何でも屋(現在表向きは興信所)を営んでいる。そんな彼の家に護衛の依頼が舞い込んできた。SPが入り用ならプロに頼めばいいのに、サエトの家を訪れた理由は後継者争いが激化しつつある家の者が、彼こそ跡取りに相応しいと盲信している後継者候補の敵を少しでも減らす為だ。諸事情で養子に出された先代の娘と、先代と血縁関係はないが例の家で最も信用が置かれた、娘が学校を卒業するまで名代を務めている男。依頼人は先代の娘の護衛を任されたがいいが、何の魅力もない愚鈍な娘に下げる頭はないそうだ。冴斗も護衛するなら美少女がよかったなと思う。中身も見た目もドブカスじゃなかったのは不幸中の幸いだ。
 卒業まで護衛して、空調調節された特殊な鞄で彼女を運んで終了。それが最初の依頼内容だったが、色々あって二年の夏休みに日本大脱出させる羽目になった。
 ――腰痛の悪化で入院した父に代わって臨時所長となったサエトは受けてはいけない依頼の判別がつくはずもなく、幼馴染で仕事仲間でもあるノエル(追手からの逃亡の際、護衛対象に足を引っ掛けて囮にした)と共に入水心中として海に浮かぶ事になった。