お隣さんはイケメン三兄弟

僕は、1つだけの弱点がある。
それを言ったら、健太兄ちゃんには、笑われた。『そんなものがダメなのか』って。
まあ、そのあと結局実兄ちゃんにボコられてたけど。
僕の弱点は……動物。そのきっかけは小学2年生の時。
学年のみんなで、動物園に社会科見学に行くことになった。
その時、虎に餌やりできるイベントがあって、クラスで1人……つまり、学年で5人だけできるという条件だった。
みんなやりたがるかなと思っていたけど、意外とやらないみたいだった。
しかも、うちのクラスだけ。他のクラスはとっくに決まっているのに。
みんなやりたくないのかな……、数人は手を挙げると思ったのに……。
そうしたら、クラスの男子たちはぼーっとしている僕に目をつけたようで、無理やり手を挙げさせた。
『先生! 現がしたいそうです!』
無理やり手挙げさせるってどんだけやりたくないんだよ……。
別に、したくなかったわけじゃなかったからいいか……。
『おお、現! してくれるか! そういう気遣いができるところ先生は嬉しいぞ〜!』
でも、その判断を今でも後悔している。
その日の虎は、いつもより不機嫌だったらしい。
ずっと「グルルルル……」と唸っていて、まるで、『近づくな』と言っているような目線を向けてきた。
と、虎ってこんなに怖いの……? まんまとクラスの男子に乗らなきゃよかった……。
その時の僕は、小さかったし、そう言う経験も少なかったから、とても怯えていた。
僕は、1組で、トップバッターだった。震えながらトングを持っている手を動かす。
『ほ、ほら虎さぁん……。だいじょおぶだよ……』
『グルルルル……グアアァッ!』
『うわあああっ!』
餌をあげた時、虎が襲いかかってきた。その時は僕がギリギリで右に避けて、左手に少し傷がついただけ……その時は、そう思っていた。
その後、1年くらい経った日、お母さんと動物園に行った。……だけど、虎に襲われた時の思い出がフラッシュバックして、楽しめなかった。
その時やっと気づいた。
僕の傷は……左手だけじゃなくて、トラウマとなって心に残っている、と。
そうわかった日、あの時無理やり手を上げさせた奴らを恨んだ。
こんな……治らない傷をつけさせて、どうするんだ。
そして今も、恨んでいる。花ちゃんと、せっかく水族館デートできるって言うのに、楽しめない……っ。
どうにかして、花ちゃんとのデート、楽しめるようにしなきゃ。
僕は、深く胸に誓った。