お母さんとお父さんが、帰ろうとしたけど、私はあわててひきとめた。
「ちょっと待って! お母さん! お父さん! 動物って、どうやって呼べるの?」
 お母さんとお父さんは、振り向いて、私にこう言った。
「「そこにいる、頼もしい5人に聞いてみなさい」」
「……っ、わかった……! できたら報告するから、遊びにきてね!」
「もちろんよ」
 お父さんとお母さんは、前を向いて、去っていった。
 ありがとう、お父さんお母さん……! じゃあ、聞いてみますか、5人に……!
「あの、すいません、動物って、どうやって連れてくるんですか……?」
「じゃあ、教えようか」
 私が聞くと、優しそうにお兄さんはほほえんだ。

「よし、じゃあこれで手続きは大体終わったかな。あとは連れて来たい動物なんだけど……」
お兄さんは、ほぼ、説明し終わってから言った。
「夢ちゃ……夢さん、決めてくれませんか?」
お兄さんはニコッと笑いながら言った。
「はい! じゃあ、紙に書いて……」
私は、紙に書いてお兄さんに渡す。そういえば、名前……。
「すみません、名前聞いていいですか?」
「ああ、そうだね。まず、僕は木村 きく。お世話がかりに任命されました」
きくさんか……。なんか覚えやすい……!
「じゃあ、後ろの人たちは?」
私が聞くと、きくさんが教えてくれた。
「この人が上野ももさんで、獣医。でこの人が赤坂みおりさん。お世話がかり。で、この人が和田そうくん。で最後のこの人が白井海(かい)くんだよ。ほぼ海くんが仕切ってる」
きくさんは、私に丁寧に教えてくれる。
わっ……覚えきれるかなっ……。
「えっと、ひとまず紙に書いてくれた動物さんがいいんですか?」
獣医さん……ももさんが聞いてくれる。
「はい……! お願いします……!」
私はそう言って、皆さんとバイバイして家に帰った。家といってもここなんだけどね……。動物園の上の住居スペース。あっ、皆さんも呼べば良かったっ……! 明日呼ぼうかな……。

朝9時。支度をして動物園に向かうと、もう皆さんがいた。
「おはようございます! ……えっと……このトラックは……?」
私が聞くと、海さんがにっこり笑顔で教えてくれた。
「動物、だよ!」
「……え? もうですかっ……?」
は、早すぎないかな……?
「トラックの中をのぞいて来たら?」
後ろからひょっこり出てきたきくさんが言った。
「あっ、その前に、動物園の上に居住スペースがあるんですけど、そこ使いませんかっ……?」
「俺はいいけど、一応みんなに聞いてみるね。トラック、見に行っておいで」
私は、こくりとうなづいて、トラックの中を見に行く。
「わっ……!」
私は思わず声を上げてしまった。なぜなら、その中には私が紙にかいて渡した動物の、アライグマ、ゾウ、キリンなどはもちろん、流石に無理かな……と思っていた、ペンギンや、アザラシなどもいたからだ。
「すごい……! みんなかわいいっ……!」
ていうか、相当大きいトラックだな……。
「どう〜?」
「はい! ……って、柳川くん?」
そこには、私のクラスメイトの柳川 蘭(やながわ らん)くんが満面の笑顔で立っていた。
「なんでここに?」
「たまたま通りかかったら、春野さんが見えたからさ」
たっ、たまたまって……。家近いのかな?
「ていうか何これ! すごいね!」
「えへへ……動物園作ったんだっ……」
「ど、動物園?」
柳川くんは首をかしげた。
「えっと……説明するね!」