夏の病院、窓から見えるのは夜空を彩る大輪の花火。



俺は生まれてからずっとこの病室で



それを眺めていた。



「また、ここでこの花火を見るのか...」



1人しか居ない病室で俺の声だけが響く
諦めにも似た呟きが漏れた時



けたたましい音と共に病室のドアが開いた。


俺は音のした方を見ると


そこに立っていたのは、息を切らせた少女。

「ここ、めっちゃ綺麗じゃん!」


その眩しい笑顔が、
この出会いが俺の閉ざされた心を溶かし始めることになるなんて


思ってもみなかった

忘れられない夏、病室を舞台に繰り広げられる、切なくも温かい恋物語。