「というわけで。ほら、行こう?」
「あ、ぁあ。…でも、その前に手離せよ」
うわわっ!!
さっきからずっと手握ったままだったんだ!!
女嫌いなのに、余計に悪化させたりしてないと良いけど…。
「ほんと、ごめん!!汗」
「だから謝んなって」
「う…はい」
なんか親に怒られた気分。
そんな複雑な気持ちを抱え、保健室まで広瀬くんについていった。

「はいはい。寝不足ね。私、今から職員会議だから保健委員の篠原さん、あとはよろしく」
保健室につくとすぐ、牧野先生が、私が広瀬くんの様子を表に書いてるうちに、保健室を出ていった。
「篠原、書けたか?」
ベッドで横になっていた広瀬くんが私に声をかける。
「うん!それじゃあ、私もう行くね」
「…待て。こっちに来い」
「? わ、わかった!」
なにか言い忘れたことでもあったのかな。
特に急いでることもないし、全然大丈夫だけど…。
仕切りのカーテンを開けて中に入ると、一瞬で身体がふかふかのベッドの上に乗った。
え?
何が起こったの?
理解するのに数秒かかった。
気づいたら、広瀬くんに抱きしめられていた。
耳が広瀬くんの口と近い…。息をするたびに私の耳が震える。
「ひゃ…広瀬、くん?」
ドキドキドキドキドキ
心拍数が自然に早くなる。
寝ぼけてるの?
でも、さっきまで起きてたはずなのに…眠すぎて?
どうしよう…。