「まだ、十一時だけど」
「うぐ。‥えっと、朝ご飯食べ損ねちゃって…」
ふーん。なら、しょうがねぇな。
本当のことかは知らねーけど。
一階のレストランらしきところにつくと、篠原は確かに朝昼の二食分くらいの量を頼んだ。
俺は、サンドイッチ二つなのに比べ、篠原はおにぎり、ピザ、クロワッサンに中華スープ、ストロベリーアイスという中々の量。
どれくらい頼んでもいいけど、食べきれんのか?
「うわぁ~、美味しそう!!いただきますっ」
嬉しそうに手を合わせ、頼んだものをどんどん口に運んでいく。
「ん~、美味しいっ!」
口に、ついてる…。
それに、こんな美味しそうに食べるんだな。
やっぱり篠原のことは、いつ見ても飽きない。
「なぁ、口元に米ついてんぞ」
「え、嘘!やだ…///」
俺が言うと、耳まで真っ赤にして急いでとってから、篠原の食べる速度が遅くなった。
「どうした?」
聞くと、俯いていた篠原が少し顔を上げた。
「引いたよね…。私、食べるのが大好きなんだけど、みんなからは少食だって思われてるから、初めての人にはいつも…」
「はあ?何言ってんの。俺は、篠原が食べてるの見てんのが…す…良いと思ってるけど。めっちゃ美味そうに食べてるの見てると、食欲がわく」
「ふぇ……ぁ、ありがとう////」
本当のことを言っただけなのに、篠原はなぜか、目を潤ませ、震えた声で俺にお礼を言った。