良かった。けど…少し残念。
しばらく広瀬くんのベッドの横にある椅子に座っていると、私もだんだん眠くなって…。
んん……。
目を開けると、薄ピンクの正方形の部屋に私と…奥に男女2人が立っていた。
「誰…?広瀬くん…?」
動きにくい自分の身体を起こし、広瀬くんらしき人の元へ走る。
すると、男子の方は広瀬くんで、女子の方は…蘭、だった。
蘭が広瀬くんに笑顔でしゃべりかけ、広瀬くんも笑っている。
どういうこと?2人とも仲が良かったの?
ブワッ
私の周りに黒い霧が現れる。
『嫌だ、なにこれ!蘭っ…広瀬くん…っ』
2人に助けを求めようとするけど、声が出ない…。
それどころか、もう一歩も動けない…。
『やめて、なにこれ!』
黒い霧が私を包み込んでいく。
怖い…。
「助けてっ!」
自分の声とともに、起きる。
え?夢…?
それに、ここは保健室のベッドの上…。
広瀬くんが寝ていたはずなのに…。
「おいっ?起きたのか!?」
横を向くと、私が座っていたはずの椅子に広瀬くんがいた。
「ぇ…広瀬、くん?」
「あぁ。俺、三十分くらい前に起きたんだけど、お前が苦しそうに寝てたから…とりあえず寝かせといた」
私のこと…移動させてくれたんだ。
広瀬くんって冷たいのか優しいのかわかんない…。
一緒にいて、自分が落ち着く。嫌なことも言われるけど。
「もう寝なくて良いのか?疲れてんだろ」
「疲れてはもうないよ、大丈夫。広瀬くんの方こそごめんなさい。せっかく寝てたのに」
「いや、俺はいい。お前がそのまま疲れて倒れたら俺…」