甘々とロマンス中毒

彼女じゃなくても彼女“みたい”な人、いたりする?芸能人は割り切った遊びの恋も多いとSNSに誰かが書いてたの、見たことあるの。

「(あやちゃんの彼女……元マネージャーさん…とか)」

甘いバニラの匂いがして、あやちゃんを『あやみくん』って呼んでいた、綺麗なひと。記憶の影に色濃く浮かぶ。

ハンバーグのタネを作りながら、端正な横顔に尋ねた。


「………あの…マネージャーさんて、あやちゃんの、か…彼女なの?」

「え?」

直球すぎた。

「…ぁ」と、絞り出す私の声がくぐもり「ああ。元マネージャーか」とうわ言のように話す、あやちゃんの手の動きがゆったり止まった。瞳が交差する。

「彼女じゃないし、あの人もう来ないから」

「そ…うなんだね」

「つか、彼女もいない。いたら、一咲のこと家に上げない」

じわりと滲む涙はみじん切りした玉ねぎのせい。

「あ!」

「…ん?」

「ハンバーグにチーズとアボカドのせていい?この間、食べに行ったお店のメニューにあって、美味しかったから」

「おー、美味そうじゃん。うん。食べたい」

ふ、と笑うあやちゃんの口元が綻んだ。

「(笑った顔、好きだなぁ)」


あやちゃんを想うだけで、ドキドキしたり心臓がぎゅーってなる。あやちゃんの言動に、キュンとなって、ふわふわ〜って舞い上がったと思えば、途端に寂しくなることや、悲しい気持ちに襲われて、勝手に落ち込む。ころんと涙が溢れそうになる。

恋心に躓いて悩んで、立ち止まりそうになったら
、あやちゃんが掬ってくれる。優しくて温かい人になれる。

望月一咲という、一人の女の子のこころは、毎日忙しいの。